ひるどき青森シリーズ・その3 ~弘前・「がんばっ亭」で食べる、弘前郷土料理~

16/03/2007青森,東北,ひるたび・さんぽ

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 青森二日目、この日は朝から弘前に向かって移動し、午前中は打ち合わせに次ぐ打ち合わせ。
 で、お昼としてご案内いただいたのが、「サンフェスタいしかわ」という道の駅にある郷土料理のお店。弘前の郷土料理といえば、先月、新橋で食べた数々の料理のように、「自分の田舎ではないのに、食べると自分が田舎に帰ってきたかのような気分になる」というもの。
 で、ここではその郷土料理を、バイキング形式で提供している。ということで、早速お店に入ると、そこには数多くのおかずがズラリと陳列されていた。


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 そして、ちゃんと生産地表示もされている(ただ、採れない食材もあったりするので、そういったものについての情報も表示している)。
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 さて、このバイキングのシステムは、これらのおかずをテーブルに備え付けのお皿に少しずつ盛って、おぼんにできる限り載せて(とはいえ、2品とかでもいいのだが)、最後にお会計というもの。また、ごはんと汁ものについては、お会計後に受け取るというシステムになっている。
 1枚のおぼんに入る皿の枚数はほぼ9枚。しかし、品数はその数倍。まるで、野球のスタメンを決めるように、慎重におかずを選ぶこととなる。
 悩むこと、約10分。ようやく決まったのはこの9皿。
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・けの汁
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 お米の代用ということで、細かく刻まれた野菜がたっぷりと入っている。かみ締めると、個々にしみこんだ汁の旨味が、じゅわっとあふれ出してくる。
 また、けの汁には欠かせない、凍み豆腐とずんだが、野菜だけではどうしても出しづらいコクの部分を、しっかりと補ってくれることで、飲み応えある味を作り出している。ちなみに、自分は「けのじる」と読んでいたのだが、どうも「けのしる」というのが正式な発音なのかもしれない。
・山くらげ
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 この食感が独特で、表面の固さと対照的に、中はかなりやわらかくなっているのだが、それが徐々にというのではなく一気にやわらかいという具合。コリコリした表面で感じる味と中まで噛んで出てくる味が少し違って感じる。
・にんじんの子和え
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 これも津軽料理定番の一品。にんじんの強烈な甘みが前に出た味わい。正直、にんじんが苦手な方には難しい味ではあるのだが、逆にこれを食べるとにんじんが持つ個性を再確認できるという一品。
・砂肝の煮物
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 今回は、「食べたいおかず」と「ご飯食べるためのおかず」に分けて、ラインナップを構成しており、後者の代表格として選択。北の味付けというのは、少し濃いめの設計になっている感があるのだが、しょうがによってこの濃さをさっぱりと入る役割を果たしている。当然、歯ごたえは申し分なし。
・棒鱈の煮付け
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 やはり、これがないと津軽料理じゃないと自分が思っているのはこれ。スーパーで一袋300円ぐらいで、棒鱈が売っているぐらいに、定番中の定番。ぐしゅっとした食感から、魚のしっかりとした旨みと煮汁が組み合わさった味が広がる。
・寒干し大根の煮付け
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 これは初めて食べるのだが、大根を干したものである。切り干しではなく糸瓜たわしのような状態になった干し大根というのが売っており、それを色々な野菜と煮付けたもの。まるで分厚い油揚げを食べているような食感で、大根を食べているという印象よりも、新しい食材を食べた印象を強く感じた。
・キャベツとイカのからし和え
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 からし和えなのだが、からし独特の立ち上がりの早さと全力疾走的に突き抜ける辛さの展開ではなく、最初はキャベツの甘みから入って、からしの辛さを感じるというもの。味付けそのものは薄めになっており、イカの味もしっかり。
・ねりこみ
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 サツマイモやにんじんといった野菜を、甘い煮汁で煮込んで、それをあんかけ仕立てにしたもの。
 弘前はサツマイモの産地という訳ではないのだが、この料理が津軽料理とされているのは、この土地が城下町背景の中、西の文化が伝わってきた際に、この料理が精進料理として伝わってきたことによる。
 
 かなり甘口のあんかけは、サツマイモやニンジンの甘さのよりも早く口の中で広がる。ごはんとの相性というよりも、この味そのもので完結するぐらいに、独特の世界観を持っている。ただ、味付けのメリハリがはっきりとしているという意味では、津軽料理らしさ、ひいては青森らしさと呼べるのかもしれない。
 やはり、津軽料理というものは奥深く、野菜力と素材を保存する昔からの知恵によって、成り立っているということを再確認。
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著者プロフィール

takapu

ごはんフォトグラファー/Local-Fooddesign代表
食にまつわる各種コンテンツ制作(フォトグラファー、エディター、フードライター、インタビュー)、商品開発・リニューアル提案、PRツール・ロゴ制作などを手掛けます。
創業75年以上の老舗食堂を紹介するウェブサイト百年食堂の制作・運営もしています。
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Posted by takapu