早稲田・おむすび茶屋 3種類のおむすびと豚汁
日本食を世界遺産に。
政府が旗振り役となって、そんな取り組みが進んでいますが、
考えてみると「日本食」という言葉ほど、
色々な意味を包含しているものは、
なかなかありません。
今の日本の食卓に乗るのは、小さな島国で育まれた食文化と、
海外から運ばれて来た、多彩な食文化との融合でできた、
世界的にも希有な文化。
専門店だけではなく、食卓で世界各国の料理が並び、
いただきますの気持ちと共に味わう。
毎日の積み重なりによって、
そういった環境が日本の食文化となっています。
でも、それが続くと伝承料理の姿は薄れて行くもの。
「世界各国の多彩な料理が並ぶことが日本食文化である」
なんていう考えもありますが、
それは食文化を構成する、
食卓の多様化と生活様式の部分だけであって、
料理文化の話が留守になってしまいます。
日本食文化を代表する料理は、
何といってもおむすび。
いつの時代から存在していたのでしょうか。
嬉しいとき、悲しいとき、おむすびを食べると、
元気になれるのは何故でしょう?
おむすびという存在の起源には諸説ありますが、
一人一人にとってのおむすびの起源は、
母親が丁寧に結んでくれたもの。
お米の温かさと手の温もりの結びつきは、
いつの時代も普遍的な存在。
料理そのものの特長はもちろんですが、
一つの料理に関する日本人の想いの強さ。
そして、そんな強さを育んでくれた料理のこと。
世界遺産に登録されるにふさわしいのは、
そんなストーリーそのものだと思います。
ある日、早稲田の一角で、さんまの蒲焼き、きび入りの塩むすび、梅干し。
それに豚汁を食べながら、思ったのです。