高松駅の高松駅弁や八戸のニュー八といった、
駅弁の調製元が無くなってしまう。
最近そういった残念な報が増えています。
今は、駅で買って電車の中で食べるよりも、
販路が百貨店やスーパーにシフトしたり。
駅で売られることがメインだった商品が、
その情緒的なイメージと実は豊富な機能性をひっさげて、
駅以外の場所で売られることが多くなっています。
そして、先の報にように地方の調製元が少なくなると、
大量調製が可能となる特定調製元の独占状態になり、
種類が少なくなることもあって、
逞しく個性的な駅弁に触れる機会が減る。
ということにもなりえます。
そんな駅弁を取り巻く環境の中で、
ある日大宮駅で見かけたのがこの駅弁。
形状としては珍しい横長スタイル。
金色に輝く箱には福島のブランド豚である、
麗山高原豚(はやまこうげんとん)の美味しさが、
5種類の調理法で楽しめるという特長が、
写真で紹介されています。
始発駅は炙りベーコン。
いきなりの奇手ですが、塩味の効いたベーコンとごはんの
不思議な相性が楽しめます。
次の停車駅は豚味噌そぼろ。
塩から味噌へのシフトなので、
エキスと味噌のコクを、
ごはんに馴染ませていただきましょう。
折り返し地点の駅は豚炙り焼き。
ボリューム系です。赤い糸唐辛子のアイキャッチに導かれて箸を伸ばせば、
ごはんもさることながら、
ビールが欲しくなる味が広がります。
そういえば、ベーコンと炙り焼きには、
大葉が添えられているのですが、
脂が強い系に対して口を洗うといった感じでしょうか。
結構効きます。
もうすぐゴールな4つめの駅は豚の角煮。
しっかり目が続き、段々とお腹も満たされてきます。
そして、終点は豚しぐれ。
一番ごはん向けな作りになっていて、
肉が続いた流れで入るごぼうの食感も効いてます。
このお弁当に感じた一番の特長は、
ごはんというよりおつまみ向けの味なので、
色々なパターンで楽しめること。
例えば、蓋に5種類のおかずを少しずつ移して、
食後にお酒のアテとして楽しめたりもします。
食べる側に色々な食べ方を想像をさせる駅弁。
自分が駅弁をプロデュースするときも
そこは意識するポイントです。
豚の美味しさを色々な角度で知ってもらうこのお弁当、
幕の内弁当系、牛系、海鮮系に飽きたなら、
こういった切り口に一層の新鮮さを感じるものです。