青森 東北

新橋・「津軽伝承料理を食する会」で出会ったもの。

投稿日:12/02/2007 更新日:

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 数週間前、こちらのお店でお昼を食べた際に、お店のオーナーからお誘いをいただいたのが、こちらの会。
 普段、このお店で食べることができる青森料理というのは、どちらかというと「青森の食材を使って作る旨いもの」という位置づけになるのだが、今回は青森市や弘前市を中心とした日本海側の地域、つまり「津軽地方」からわざわざお越しいただいた、総勢9名のお母さま方によって、「いつも食卓に並ぶような津軽の郷土料理」を中心として、現地の姿のままで旨いものを、たっぷりといただこうというイベントなのである。
 
 店内に入り、自分の席に着くと、既にテーブルにはたくさんの料理が並んでおり、フライングしたくなる勢いに。そして、乾杯の時間となり、下戸である自分の手元にあった飲み物はビールではなく…


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 当然ながらに、りんごジュースとなる。ちなみに、わんどとは津軽弁で「私たち」のこと。片山農園さんというりんご農家が作られたこのジュース、口当たりがすっきりしていながら、甘さがぎっしりと詰まっており、しかも後味も心地いいという、すごく理想的なジュースである。
 さて、今回のラインナップは全部で12種類。なのでここからは、箸とお皿を片手に食べる食べる、そして食べる。
・ほたての刺身と、なまこ酢の物
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 貝柱の繊維一本一本の質感から広がるのは豊富な甘み。一方、ヒモはほどよい塩分と噛めば噛むほどに広がる旨み。そしてこれを一緒に食べると、たまらないほどに立体的な味となる。
 一方のなまこ。実は自分はなまこを食べたことがなかった。「コリコリしているのは、新鮮な証拠だよ」という、お母さん方の話を受けて、しょうがと共に口にすると、これはすごい弾力!味そのものに強い特徴を覚えるというより、この食感を楽しみながら、酢の酸味と「ナマコってこういう味なのか」というものを、口に覚えさせるという具合で箸を進める。すると、早くもお皿は空っぽに。
・棒たらの煮付け
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 棒たらは、保存食用として鱈を干したもの。これを昆布とふきとで煮付けてある。余分な水分はなく、グシュグシュとした食感の後で、まるで小さな泡が広がらんばかりに、旨みが広がってくる。また、ふきが苦手な自分が、不思議と食べることができたのが、この煮つけに入っているふき。一連のクセが苦手なので、この野菜は敬遠しているのだが、これは自分が苦手なクセがなく、食べやすいの一言。
・ぜんまいの白和えと、人参の子和え
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 ぜんまいの白和えは、ぜんまいと豆腐を和えただけのシンプルな作り。豆腐がふんわりとした食感からほんわりとした甘さに続いて、そこにぜんまいのクシュっとした食感と、筋が通った味が加わることで、飽きがこない味に。
 一方、人参の子和えは、ニンジンに鱈子を和えたもの。ニンジンの味が最後まで続く中で、すっと塩味と旨みを加えているのが、鱈子。シンプルなのに幅広い味となっている。
・あんこうのともあえ
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 そして、この日の和え物3種類の中で、一番の印象深かったのは、このあんこうのともあえ。アンコウの身とキャベツをアンキモで和えるという、分かりやすさと潔さがたっぷりの一品。たっぷりのアンキモが生み出す濃厚なコクと、身の甘み、そしてこれを引き締めるキャベツの、シャキっとした食感と、その甘みが、しっかりと調和をなしている。
・けっこみそ
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 たっぷり食べているときに、運ばれてきたのはこのけっこみそ。けっことは、「貝の子」という言葉がなまって転じたもの。大ぶりなホタテの貝殻を器にして、だしに味噌を溶き、そして板麩入れて溶き卵を流しいれるもの。
 地元では、「病気になったらこれを食べると治りがよくなる」とされているこの一品。まず、味噌が旨い!そして、卵もふんわりと絶妙な熱の通り加減となっており、ネギが薬味としてすごくいい役割を果たしている。
・つけもの各種
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 つけものは、全部で7種類。赤蕪の糠漬け、高菜のしょうゆ漬、赤蕪と菊芋の千枚漬、きゅうりのしょうゆ漬、大根のべったら漬、そして、ヤーコンの粕漬けと豆漬。
 親戚が畑をやっている関係で、たまにヤーコンをもらい、これを細切りにしたり平べったく切ったりして、そのまま食べたり天麩羅にしたりしているのだが、漬物にするとは・・・味もシャクっとした食感とたっぷりの水分はそのままに、旨みが熟成されている。
 そして、もう一つの豆漬はというと、
・豆漬
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 枝豆の漬物であった。薄皮に包まれたエキスに酸味が効いた枝豆は、ごはんとの相性がすごくよさそうな一品。(実は、今日の会にはもう一品「つがるロマンのおにぎり」があったらしいのだが、自分は未食…)
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・菊の甘酢漬け
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 菊の花は、調理すると見た目と違いコリコリした食感になるのだが、これはその食感が驚くほど強い。これに加えて、甘み→酸味の幅が広く、強い存在感を出している。
・けの汁
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 けの汁とは、「粥の汁」と書いたものがなまったもの。まだ、お米が珍しい時代だったころに、野菜や山菜をお米のように扱って、細かく刻んで食べたということが始まりとのこと。なので、どの野菜や山菜、そして油揚げや凍み豆腐(しみどうふ)も細かく刻まれている。
 色々な野菜が作る甘み、山菜の個性的な味、そして油揚げや凍み豆腐を噛んだときに広がるのは、これらの旨みが更に増したもの。
 これを支えているのは、細かく刻まれたずんだの粒。乾燥させたずんだを細かく刻んで入れたもので、小さい粒ながらも、その存在感は強い。
・たらのじゃっぱ汁
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 この会の中で、自分が一番インパクトを受けたのが、このじゃっぱ汁。じゃっぱとは「アラ」のことで、鱈がまるごとが入った汁となっている。あとは、大根とネギしか入っておらず、食材的にはシンプルな品数なのだが、その味はすごい。
 最初の口当たりはさっぱりしているのだが、じわりじわりとダシの旨みとして、鱈のまろやかな味が広がってくる。身は弾力で、皮はゼラチン質で、それぞれの部位らしさを発揮。
 そして、秀逸だったのがキモ。正直、タラのキモを侮っていた。あんきものとも和えは、あんきもを食べるという先入観を含めて、その味を楽しんだし、ものすごく旨かったのだが、これは先入観がなかっただけに、まろやかさと濃厚なコクの印象が極めて強いものとなった。
 また、こんなにすごい旨みを吸った大根やネギの味もたまらない。もし、明日また一品食べることができるならば、自分はこれを選びたい。
・しとぎ餅
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 食後のデザートには、しとぎ餅。しとぎとは、神前に供える餅の形がタマゴ形のものを指す。ボリュームある生地と繊細な甘さを持つ餡子の組み合わせは、ほっとする味。
 自分が青森食に強い関心を持つようになったのは、去年の6月に現地に行ったことから始まる。そこで食べた小かぶや根曲がり竹が、すごい素材の力を感じさせてくれたからである。そして今回、津軽の郷土料理を食したいとして、30名近くの方が集まった。
 故郷の味に久しぶりに触れてみたいという方や、自分のように青森の食に興味を持ったからという方。きっかけに違いさえあれど、目的は同じ。そして、今日食べた料理には青森コミュニティを作り上げる魅力が、ふんだんに溢れている。
 食べ物が結び作りだす郷土愛って、一番本能から湧き出すものだと改めて感じたのと共に、今年も青森に絶対に行きたいという気持ちが、更に強くなった。
 今回の会を運営してくださった、NPO法人のキープラネット様と、企画・コーディネーターとなった陸奥新報文化部次長の清水様、そしてわざわざ東京までお越しいただき、朝9時から仕込みを開始して、夕方6時の会に間に合わせてくれたお母さま方に、この場を借りて感謝します。
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  • この記事を書いた人

takapu

ローカルフードデザイナー/伝承料理研究家 食や旅をテーマにした商品開発や既成品リノベーションを始め、コンテンツ企画、取材・執筆・撮影、PRツール制作、漫画原作、講演、事業所の強みづくりコンサルティングを手がけています。 詳しいプロフィールはお仕事に関するお問い合わせは、下のリンクからお願いいたします。

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