池袋の街中を歩いていると、
至るところで目にするのがラーメン屋さん。
そんなラーメン激戦区にあって、
独特の空気に包まれているのがこの一角。
明らかに鯛焼き屋さん、でも、ラーメンの文字が記された赤暖簾。
テイクアウトで鯛焼きを買うお客さんの波は絶えません。
となれば、店内に入るしかありません。
小さなテーブル5卓に、一人用の席が一つ。
まるで、もんじゃ鉄板のある駄菓子屋さんのように小さな空間で、
まずはワンタンメンを注文しました。
これぞ、昭和の佇まい。
チャーシューにナルトにメンマに葉物野菜。
思えば、近所の中華屋さんのガラスケースに並ぶサンプルは、
どれもこんな感じの姿でした。
鶏ベースの醤油ラーメン。
薄化粧のラーメンなのでシンプルに美味しさが舌に広がります。
不思議な存在感と心地よい食感のワンタンを食べつつ、
スープをグビグビ飲みつつ、そして汗を拭きつつ。
つるつるとちゅるちゅるを交互に楽しみます。
で、食べ終わったところで、鯛焼きを注文。
パリパリの皮と、ど真ん中にずっしり詰まった甘い餡との組み合わせ、
天然ものの焼き型を使っているので、味に品格があります。
ちなみに、テイクアウトだと一つ150円ですが、店内で食べると180円。
甘しょっぱいの流れを体感するのに、30円の差額はお得です。
この手のお店の味が持つ美味しさは、
時に思い出補正と呼ばれることがあります。
ただ、生まれた時代が違えば、美味しいと感じるものの下地は全然違うものです。
味覚の基準が作られる時代背景が違うのですから。
おそらく、それは20年刻みぐらいで大きく変わるのでしょう。
だから、20年刻みを飛び越えて40年とか60年営まれているお店の味は、
それは誰もが認める普遍の美味しさ。
昭和38年に開店したお店の普遍的な美味しさ、大切にしたいものです。