歩道橋から眺める一軒のインド料理店、
「本場インド人シェフが作るカレーハウス」
「焼き立てナン」
「おいしいお店」
偶然なのか確信犯なのか、ストレートに長所を訴える言葉の並び方には、
海外で売ってる日本語Tシャツのごとく、
もやっとした違和感の中に、一本の太い軸を感じるのです。
日本人によるお店なら、
きっと一番近いのは「日本一旨いラーメン店」。
味覚なんて人それぞれなのに、誰が決めたねん!な感じです。
とはいえ、惹きがあるのも事実。
思惑通りにお店に吸い込まれてしまいました。
テーブル席に腰掛けて、
注文を取りに来るのを待っていたのですが…食券制でした。
10種類以上のカレーセットに迷いつつ、
バターチキンセットのボタンを押して、席に戻ります。
運ばれてきたカレーが視線に入ると、
まるでファミスタのバットのごとき、
巨大なナンに驚かされました。
一口大にちぎって食べれば
パリパリの表面が歯に当たる度に、
モチモチの食感に化けて、
ほんのりした甘さがふわっと包み込みます。
オノマトペが並ぶのは、きっとお店のカラーに無意識に染まって、
言葉遊びがしたかったんでしょう(笑)。
これを鮮やかなバターチキンのソースに絡めると、
ナンはコクとスパイス印のオレンジ色に染まり、
少しずつ姿を消していきます。
食後にはラッシーもついてきて、もうお腹いっぱい。
人は見かけによらないと言いますが、
インド料理店も看板の言葉によらないものです。