四谷三丁目・どんぐり 「家庭料理+山形料理」

10/03/2007東京,市ヶ谷/四ツ谷,よるどき

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 四谷三丁目の駅から5分ぐらい歩くと、黄色の看板が目印のこんなお店がある。ここは、山形県最上町出身の女性がやっている家庭料理のお店である。
 「山形県の方が作る家庭料理」と考えると、なんとなく期待値が上昇するのだが、そもそも、山形の名物として思い浮かぶのは、米沢牛だったり、さくらんぼだったり、板そばだったり、丸こんにゃくだったりという具合にどちらかというと断片的。
 なので、「山形料理とは?」となると明確なものが思いつかない。ということで答えを探すような気持ちで店内に向かう。
 今回は「3,000円ぐらいでコースを作って欲しい」と事前に指定していたので、おまかせモードとなる。ということで、最初に運ばれてきたのは、山形名物のあれだった。
 


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 前菜3品の一番奥に見えるのは、「だし」が盛られた冷奴。自分は、これがごはんの上に盛られたものは、このお店で見て食べたことがあるのだが、豆腐の上に盛られたものを見るのは初めてである。
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 だしとは、内陸地区で定番の家庭料理で、野菜を細かく刻んだものを、醤油で調味したもの。きゅうりとナスが使われる野菜の定番ではあるのだが、家庭によって使う野菜も違うらしい。
 粘りのある野菜をじゅばじゅばっと口の中に取り込むその勢いと、シャキシャキした食感が印象的であり、豆腐との相性も申し分なし。
 次に運ばれてきたのは、カラフルな彩りの煮物。
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 ここで丸こんにゃくの登場。表面の少し固めを持った弾力と中心の少しゆるさを持った弾力がコントラストになっており、つゆの染みこみ具合もこれに比例している。また、春菊を初めとした個々の野菜の味がしっかりと伝わってくる味付けなので、ごはん派にもお酒派にもうれしい作り。
 ここからは、少しボリュームがある料理が次々と運ばれてきた。
・たいら貝のコンソメスープ、ニンジンとタラの芽の天麩羅、島根産ブリのたたき
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 山形県の方がやっているので、全部の皿が山形100%。というわけではなく、基本的に料理全体のバランスを優先している。ただ、タラの芽はしっかりと山形産。大皿ものは3人前の分量なのだが、結構なボリュームである。
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 黒豚の味噌漬を焼いたものの後は、ごはんを残すのみとのことだったので、山形ものの料理を一品と、隣のテーブルで食べていたのを見て美味しそうに見えたもの一品を、追加注文することに。
・前森高原ハム
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 山形県最上町の工房で作られているハム。肉の繊維感によるしっかりした噛み心地から広がるのは、少し強めの塩味とがっちり組み合った肉の旨さ。
・焼き筍
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 香ばしく焼かれた皮から発せられる豊かな香り。そして、皮を一枚一枚剥いていき、根っこ側からがぶりと食べる。
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 シャクシャクとした食感から口一杯に広がるのは、とうもろこしのような甘みと心地よさを持つアク。アクは素材独特の個性の一つであって、味の一つでもあるということを再確認させてくれる。
・ブリご飯
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 ブリの照り焼きを細かくほぐして、ミョウガ、シソ、ゴマといった薬味類と一緒にしたもの。ブリのしっかりした味と個々の薬味が作る味は、美味しさでほっとする味。ミョウガの強さを一歩前に出すことで、しっかりした味の軸を作り出している。
 また、碗物も貝のダシがしっかりと出ており、十二分の飲み応え。
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 食後にサービスで出してもらったこのプレートが、今までの流れとは違う系統ではあるのだが、いずれも手作り。
 正直、山形らしさという意味では、一から十まで山形ものを使っているわけではないので、やや薄めの印象なのだが、まるで親戚の家に招かれたときの「あら、よく来たわね。じゃぁ、たくさん食べてね」という時に食べるあの感覚が、このお店にはある。そして、それが使い勝手の良さになっているのか、店内は満席となっていた。
 この感覚を受けながら、次はオール山形ラインナップでコースをお願いして、もっと「山形料理とは?」という部分を、堪能してみたいものである。
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著者プロフィール

takapu

ごはんフォトグラファー/Local-Fooddesign代表
食にまつわる各種コンテンツ制作(フォトグラファー、エディター、フードライター、インタビュー)、商品開発・リニューアル提案、PRツール・ロゴ制作などを手掛けます。
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Posted by takapu