東池袋・多津よし 牛タン百景

07/03/2012東京,練馬区/豊島区/板橋区,よるどき

多津よし_120112-04
池袋が身近な場所で生活していると、
今度は東池袋のことが気になってくるものです。
で、ある日の晩。
この界隈で夕食を食べようと思い、お店を調べてみたら、
いつの間にやら、一軒の牛タン屋さんが気になっていました。
都電の駅からちょっと歩いた商店街の入口、
ここに静かに佇んでいたのが、多津よしです。
入口の引き戸の前には厨房を囲むカウンター、
左奥には4人掛けのテーブル席があるのですが、
厨房の奥、まるで家の応接間のような座敷が、
気になって仕方ありません。
メニューは少なく、牛タンとテールスープ、
そして煮込みに麦とろ、お酒がいろいろ。
品数は最小限でも、一つ一つが奥深そうなラインナップ。
で、そんなお店の壁に貼られていたのは、牛タン定食。
最初ということもあったり、あまり飲めないお酒というよりも、
ごはんガッツリモードだったので、これを注文してみました。
ところが…すごいのが来たんです。
多津よし_120112-01
これぞ、完璧な牛タン定食。
ピンと立った牛タンがあって、
テールスープという名のミートスープがあって、
黄色いトロロがあって、麦ごはんがあって。
多津よし_120112-02
熱々の牛タンを頬張れば、
グシュグシュという音と共に旨みが口中に染み渡り、
更に南蛮味噌も合わせた日には、
ご飯が進まない理由はなく、
白菜の漬物が進まない理由もありません。
そして、テールスープが反則でした。
柔らかく煮込まれた尾の肉と、
どの一滴を口にしても旨みが詰まったスープ。
勿体ないから飲み干したくない、なんて言ってはいけません。
冷める前に美味しいうちに飲まないと、罰が当たります。
多津よし_120112-03
そして、とどめを刺してくれたのは、トロロかけ麦ごはん。
出汁の効いたトロロが麦と米の間に流れていくほど、
ずずっと飲むように口が動き、
茶碗の中身は胃袋に収まっていきます。
あぁ…もう、本当に幸せです。
しかも、これで1,700円。
本当に驚きです。
そんな興奮は何度も味わいたいもの。
数週間後、再びカウンター席に座ったのです。


多津よし_120215-02
まずは、牛タンの煮込みを注文。
飴色に柔らかく煮込まれた牛タンは、
繊維感はそのままに、
口の中でほろっと崩れてしまいます。
多津よし_120215-03
次に、牛タンを二種類焼いてもらいました。
七輪の炭火で生まれる薫りが、
早く早くと手招いています。
サクっと歯ざわりよく、
軽快に噛み切れる赤身と、
グシュグシュと噛みしめるほどに、
味が滲み出るサガリ。
考えてみると、
「牛タンが食べたい!」イコール
「あの食感に会いたい!」なので、
色々な食感に出会えると、満たされ感が倍増します。
そして、締めに特上牛タンを注文。
すると…
多津よし_120215-04
妖艶なグラデーション、
触れてないのに感じる弾力。
とにかく、すごい迫力です。
一口頬張れば…困ってしまいました、美味しすぎて。
食感の心地よさと旨味の、衝撃的なコンビネーション。
出会えて幸せです。
笑顔が素敵で気さくなご主人の、牛タン愛に満ちた空間。
しばらく、足繁く通うことになりそうです。

著者プロフィール

takapu

ごはんフォトグラファー/Local-Fooddesign代表
食にまつわる各種コンテンツ制作(フォトグラファー、エディター、フードライター、インタビュー)、商品開発・リニューアル提案、PRツール・ロゴ制作などを手掛けます。
創業75年以上の老舗食堂を紹介するウェブサイト百年食堂の制作・運営もしています。
Local-Fooddesign

Posted by takapu