【長崎屋/青森県黒石市】これが青森自慢の中華そば

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ホテルの窓から外を眺めれば一面の雪景色。

首都圏が記録的な雪不足だった中で、こんな景色を見ることで、自分にとっては遅ればせながらの冬が来たという感覚と共に、これが今年最後かもという寂しさが入り混じった妙な感覚になる。

雪道を弘前駅に向かい、JRの改札横を通り過ぎて乗ったのは、弘前市と黒石市を結ぶ鉄道である弘南鉄道弘南線。なぜここまで急ぐのかというと、この電車は単線で自分が乗った時間帯は、1時間に2本というダイヤ編成となっていたためである。

2両編成の電車に乗って向かう先は、青森県黒石市。去年から「黒石やきそば」で注目されているので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれないが、自分は旨いものが揃う青森県の中でも、素材で有名な地というよりも、料理で有名といった地という印象を持っていた。

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進行方向に向かって一番後ろの車両に飛び乗って、大きな荷物を床に下ろしてから車内を眺めると、下車時に精算を行うための機械や、車内アナウンス用に設置された昔のカラオケスナックにあったようなカセット。

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雪景色を颯爽というより力強く走り抜けていく電車。時に、単線ゆえに通過待ちでホームに長く留まったりしながら、車窓の景色に白く染まった山間が目立つようになったころ、終点の黒石駅に到着。

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ホームと駅舎の間には、窓ガラスが入ったスチール製のドアがあり、それを開けてキップを駅員さんに渡してから、黒石の地に足を踏み入れることになる。

駅はロータリーが設置されている側と、裏道のようになっている側がある。で、裏道側に出て市役所方面に歩くこと約10分。パチンコ屋さんの斜め向かいに見えたこの食堂が「長崎屋」だ。

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店内に入ると、左側には昔のままに使い込まれたメニューサンプル、右側には同じく使い込まれたテーブルやイスと共に、大きなストーブが鎮座していた。

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さて、ここで注文したのは中華そば。でも、これはただの中華そばではなく、実は「津軽ラーメン」と呼ばれるもの。なのに、津軽ラーメンと銘打っておらず、「中華そば」として出しているところに好感を持った。

注文してから出てくるまで待っていると、時間帯が正午近くだったこともあって、次から次へとお客さんが入店し、中華そばを注文している。

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目の前に運ばれてきたのは、素朴な姿の中華そば。スープと麺が主役というラーメン本来の姿を、しっかりと思い起こさせてくれる。津軽ラーメンの特長は、ダシに焼き干しをふんだんに使った、香り豊かで濃厚な味わいのスープ。

やさしい香りが広がるスープを一口すすってみると、見事に濃厚なダシの旨み。醤油ダレが控えめなので、麺に味をつけるためのスープというよりは、スープ単品でぐいっと飲めてしまう、あっさりとした作り。

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麺を引き上げて箸越しに伝わってくるのは、モチモチとした感触。

ハリやコシが強い麺を持つと、ずっしりとした重みを感じるのだが、この麺を引き上げたときは独特な印象を覚える。これをずずっと口に入れると、歯を伝わって感じるのは、くにょくにょと柔らかめの食感。でも、ハリやコシがしっかりと残る麺。

そんなやさしさを持った麺と、やさしいスープが見事に一体になった組み合わせとなっている。寒さも手伝ってというのではなく、ただただ食べてスープを飲んでいると、いつの間か器の中がカラッポになっており、身も心も温まって次の店に向かうのであった。

ちなみに、このお店の中華そばには、もう一つの名物と呼べるものがあり、それが

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この麩である。妙にスープの味と馴染むこの具は、この店の「中華そば」らしさを体言する一品になっているのも見逃せない。

【この記事を書いた人】

合同会社ソトヅケ代表社員/Local-Fooddesign代表

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