「あじさぽに行って、2種類のラーメンを食べたほうがいい」
そんな話を耳にして向かったのが、以前訪問したくどうラーメンの近くにある味の大西というラーメン屋さん。紅のれんをくぐって店内に入り、メニューを見ると…
味噌、塩、醤油の基本形3本柱に次ぐ味として、燦然と輝くのがカレーラーメンの文字。そして、そこから左に視点を移すと、大胆不敵なミックスメニューが次から次へと。
ということで、この中から味噌カレー牛乳バターラーメンと、納豆ラーメンを食べることに。
テーブルには、このようにハード系の梅干しが備え付けられている。とてつもない強豪であろう二品が来る前に、小皿にセットする。そして目の前に運ばれてきた。
・味噌カレー牛乳バターラーメン
想像以上に複雑な色合いのスープ。確かに牛乳の色で確かにカレーの色、そして確かに味噌の色で確かにバターが判りやすく盛られている。香りは、カレーの刺激的な香りの中に味噌と牛乳によるやわらかい香り。
そのスープの味は、個性が強いもの同士の足し算にもかかわらず、奇跡的に綺麗な流れが生み出されている。味噌の甘みと牛乳のコクの土台に、カレーのスパイスが加わり、重厚感の中に軽さが生み出され、かなり飲みやすい。ここにバターの塩分と脂感が加わると、更にそのスケールが増す。しょっぱさやくどさを感じないことに、カレーの効果が大きいことを感じる。
また、たっぷり盛られたモヤシやメンマも、このスープに漬かることで自らのエキスと相まって、ボリューム感を加速させているのだが、特に、乾燥状態のワカメがこのスープを吸って膨らむので、味として浮くことなく食感のアクセントして機能している。
麺も、黄色く太い札幌スタイル。まろやかでスパイシーなスープとの相性は申し分なし。ハリもコシもあって、ズッズッズッとすすりが止まらない。
・納豆ラーメン
たっぷりのもやしと、長めのメンマ、そしてチャーシュー・・・納豆がない?ただ、スープの見た目からは明らかに粘度を感じる。
ということで、スープをすすってみると、ものすごく粘りっ気のあるスープ。味のデリケートな部分よりも、この印象が強い。よく、麺とスープが絡み合ってという表現があるが、これはいやおうなしに麺にスープが絡み合う。
納豆はどこに?ということで探してみると、付属の穴あきレンゲでスープをすくえば、引き割り納豆がゴロゴロと。正直、麺とこの納豆を一緒に食べるのは難しいのだが、スープに納豆スピリットのようなものが乗り移っている時点でこのラーメンは成立している。
ただ、この納豆を普通にレンゲに食べるのはもったいない。また、味噌カレー牛乳バターラーメンのスープも、かなり旨い。ただ、冷めるとちときつい。ということで…
あったかいライスを注文して、スープライスを2種類。これがもぅ…たまらない。というより、必須。
実は味噌カレー牛乳ラーメンの開発に至るまでには色々な物語がある。そして、この2種類を食べて自分が思ったのは、何事も先駆者あって新しい食文化が生まれるという事実。
やっぱり、人間は攻めの姿勢を忘れてはいけないものだと、2杯のラーメンと2杯のスープライスで感じた、台風が近づく昼下がりだった。