栃木県宇都宮市・年に一度のサイクルロードレースの祭典「ジャパンカップ」って凄いんです!!

25/10/2015栃木,関東,ひるたび・さんぽ

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ロードバイクに乗って1年半。
都内の色々なカフェに行ったり、荒川沿いを走ったり。
両足でペダルを回すことが、すっかり生活の一部となっております。

もちろん、スカパーのJ-sportsで海外プロチームのロードレースを見たりするのですが、やっぱり…すごいんですよね。
一日で200キロ前後の距離を平均時速40キロ超で走破したり、壁のような角度の山をスイスイと登ったり。

一応、同じスポーツをしている人間として見れば、もう神なんです神。
こちら一瞬でも40キロ出すのだって一苦労なんですから。

そんな海外プロチームの選手が来日する数少ない機会の一つが、毎年秋に宇都宮で開催されるジャパンカップ。
1990年に世界自転車選手権が宇都宮で開催されたのを契機に、1992年に第一回が開催。
年を重ねるごとに、レースレベルの高さはもちろんですが、集客規模が拡大するに連れてイベントとしての成熟度も高まっています。

もちろん宇都宮の中心地は大歓迎ムード。

大きなフラッグの出迎えはもちろんのこと、商店街の真ん中には自転車関連の様々なポップアップストアが出店し、アーケードはロードレース一色に染まります。

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この一角にある、宇都宮のアンテナショップ「宮カフェ」も大賑わい。

ジャパンカップ観戦のために県外から来たと思しきお客さんが、地場商品を手に取る姿。多くの方が宇都宮ひいては栃木県のモノ・コトに触れる機会としても、機能していることを教えてくれます。

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もちろん自分も、たっぷり盛られたレモン牛乳のジェラートや、

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レースの特製ラベルが貼られたクラフトビールをいただきます。

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このジャパンカップのメインイベントは2つのレース。
一つは、JR宇都宮駅から伸びる大通りの一角を封鎖して行われる「ジャパンカップクリテリウム」。この日のレースです。

コース沿道にはフェンスが設置され、開始までの時間は出場チームの物販テントでお買い物をしたり、
会場周辺で配布される読み応え抜群のフリーペーパーを熟読したり。
スタートまでの時間を思い思いの形で楽しみます。

また、参加チームによってはサイクルジャージのデザインを施した風船を配ったり。
チームにとっては「応援よろしく!」といったグッズなのですが、「こんなグッズがあるの!」というギャップと共に、ブランドが身近なものに感じたりもします。

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観戦場所を探しているとコース上には選手の姿。
「テレビで見る選手が走っている!しかもここは宇都宮!」これだけで、白ごはん3杯いけます。

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混雑の中でようやく観戦場所を確保したら、あとはレース観戦モード。
まだリラックスムードの中を、今年の主役の一人・ファビアン・カンチェラーラが眼の前をゆっくり走ります。

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時計の針が14:00を示せばオープニングランの始まりです。

参加チームの選手がゆっくりとお披露目走行をする中、弱虫ペダルの作者・渡辺航先生が近づいてくると、黄色い声援が一層大きくなります。

さすが、ここ数年のロードレースブームの立役者。実は、私もこの漫画が遠縁でロードバイクを始めたんです。

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それにしてもこの大会に出場する選手は、みんなサービス精神旺盛です。

過去2回、この大会を制したハース選手はすっかり宇都宮がお気に入り。
ピースサインが似合っていたり、宇都宮の屋台村に詳しかったり。

大会で来日するたびにそのエリアを好きになってもらうって、素敵ですよね。

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スロバキア人のポポヴィッチ選手は、カメラに向けて素敵な表情をくれたり。ゆっくりとバイクを走らせるどの選手からも「楽しい!」が満ち溢れています。

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そんな和やかな空気を打ち破ったのは、高校生によるホープフルクリテリウムの一周目。眼の前を走り抜けるスピードは圧巻の一言!
肉眼で捉えるのが難しい一瞬ですが、肌で感じる力強さに震えます。

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お次は、ガールズケイリンの選手によるスペシャルレース。
競輪と言えば中野浩一な方も多いかと思いますが、今や競輪場のバンクを駆け抜けるのは男だけじゃありません。

カラフルなディスクホイールを全力で回す姿は、さしずめ力強く咲く華といったところ。
爽やかな風が宇都宮の街を駆け抜けます。

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そして、メインのジャパンカップクリテリウムレースのスタート。一周1.55キロのコースを20周走ります。
最初の1周は比較的ゆっくりと走るのですが、段々とペースは上がっていきます

途中、5周目、10周目、15周目にトップでゴールを通過した選手は表彰されるのですが、この日はすべて日本人選手。
しかも、そのうち2人が地元チームの宇都宮ブリッツェンの選手だったこともあって、会場のムードは最高潮!

あとは、ラスト一周のゴールを最初に駆け抜けるのが日本人だったら…

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と思っていたら、それが現実に!

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勝ったのは、トレックファクトリーレーシングの別府史之選手。
クリテリウムレースが始まって今年が6回目にして、初めて日本人が表彰台の頂点に登りました。

5人1チームで参加する中で優勝するのは1名だけ。なので、チームメイトはエースのために献身的に動きます。
世界のビッグレースを数多く制したカンチェラーラも、さっきまで笑顔だったポポビッチも。
勝利を託したチームメイトと熱い抱擁を交わす姿を見れば、心が熱くなります。

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となれば、餃子とビールで祝杯!といいたい所でしたが、界隈の餃子店は軒並み売り切れか長蛇の列。

ということで、以前から気になっていたBLUE MAGICというクラフトビールのお店へ。
ここも店内は満席だったのですが、外呑みカウンターに空席を発見。早速リストとにらめっこです。

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選んだのは、スタウトにレモングラスを組み合わせたレモンスタウトと、本日のテイスティングセット。

芳醇なコクが爽やかな香りとともに広がるビールを飲みながら、餃子風味のナッツをつまんで、
相席になった方も同じくロードレースファンと判明した瞬間に意気投合。

同じ趣味を持った方との出会い、こういうのが楽しいんです!

勝利とビールでほろ酔い加減になったら、ホテルに戻って明日に備えます。
ちなみに、この時期の宇都宮のホテルの予約は8月には満室となってしまうので、お早めに!

 

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さて、2日目です。宇都宮駅から出発する臨時バスに揺られること約40分。
到着した先は宇都宮森林公園。この日のレース「ジャパンカップロードレース」の舞台です。

こちらがメインイベントということもあって、会場内は人、人、人、出場チームのキャラクター着ぐるみ、人、人。とにかく、すごい賑わいです。

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出場しているチーム・スカイは、海外のレースで使用しているサポートカーを展示。
チームのシンボルカラーの青い線が入ったジャガーに見入ります。

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そのすぐ近くには、今年のツール・ド・フランスを制した、クリス・フルーム選手モデルのロードバイクが。
ペイントはもちろんなのですが、フレームやタイヤなど一つ一つのパーツに風格を感じて「ぽわーん」となってしまうのです。

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こちらは、チームノヴォノルディスクのキャラクター。
このチームの特徴は、選手全員が1型糖尿病患者ということ。
プロ選手として生活することで同じ病と戦う患者に勇気を与えると共に、人生の目標に向かって取り組むことを応援しています。

活動内容はもちろんですが、自分のロードバイクと同じメーカーのバイクを使っていることもあって、何かと気になっています。

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前日よりも多い人波をかき分けて、観戦場所を見つけたらレース観戦の始まり。

レースは、一周約10キロのコースを14周。
最初の一周は昨日と同じく比較的ゆっくりと始まるのですが、一番の違いはコースのタイプ。

クリテリウムは都市部の平坦コースを走るのに対して、
今日のレースは標高差185メートルの古賀志林道を駆け上がったり、高低差の激しいプロフィール。
とにかくスタミナ勝負なんです。

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タフなコースを乗り切らんとする姿に、周回を重ねるごとに大きくなる声援。
後半になるとリタイアする選手の数も増え、レースの平均速度も高まっていきます。

だからこそ応援のしがいもありますし、選手には無事完走して欲しいと願うのです。

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山に挑む姿はまさに勇者。ありったけの力でペダルを踏んで前へ前へと進みます。

今年、このレースを制したのはトレックレーシングファクトリーのバウケ・モレマ選手。
昨日につづいてチームは2連勝!選手のクールダウンエリアの前には、幾重もの人だかりができていました。

世界最高峰を体感できる環境があり、そのエリアでのお馴染みに容易に触れられること。
この二つが両立しているからこそ、宇都宮に8万人もの観客が県内外から集まるんだと思います。

二日間のレース観戦の後に餃子を食べる。

イベントに参加した感動と地域の「ベタ」に触れて満たされる喜びを覚えたら、
次は選手が走ったコースを自分でも走りたくなる。

宿を確保したらロードバイクを畳んで宇都宮まで運んで、駅前で組み上げたその足で自分で林道を駆け上がったら、ご褒美に餃子とビールを堪能する。

「次は宇都宮でこうしたいなぁ…」

20年以上を費やしてそれが具体的にイメージできる環境が整っているのが、
ジャパンカップの、そして宇都宮のすごいところだと思うんです。

著者プロフィール

takapu

ごはんフォトグラファー/Local-Fooddesign代表
食にまつわる各種コンテンツ制作(フォトグラファー、エディター、フードライター、インタビュー)、商品開発・リニューアル提案、PRツール・ロゴ制作などを手掛けます。
創業75年以上の老舗食堂を紹介するウェブサイト百年食堂の制作・運営もしています。
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Posted by takapu