【オジマパン/福島県福島市】初代譲りの技が作るパンと、アプリコットジャムのロールケーキ

12/08/2020福島,東北,カフェ/喫茶店,スイーツ,パン,ひるたび・さんぽ

古関裕而生産100周年記念モニュメント

甲子園高校野球交流試合として開催中の2020年の高校野球。今年は例年と違う夏の風物詩ですが、テレビ越しに躍動する高校球児を見ていると、頭の中に「栄冠は君に輝く」が聞こえてきます。

古関裕而ストリートの看板

そんな名曲を生み出した作曲家・古関裕而が生まれ育ったのが福島県福島市。古関裕而を題材とした朝の連ドラ「エール」の放送に合わせて、福島駅の東口広場から伸びる駅前通りとレンガ通りが古関裕而ストリートとして華やかな空間になっていました。

街なかの写真展と生誕の地記念碑で、古関裕而の歩みに触れる

古関裕而・街なかの写真展

市の男女共同参画センターやチェンバ大町といった施設では、窓ガラスをギャラリーとした写真展やパネル展が開催。一枚一枚の写真やパネルをじっくりと眺めていると、いつの間にか引き込まれて暑さを忘れるものです。

「え!こんなにすごい人だったの」という感覚に包まれながら、「長崎の鐘」や「オリンピック・マーチ」といった、世代を超えて愛される曲を生み出した歴史に触れると、その才能と曲に込められた一途な思いを感じます。

古関裕而生誕の地記念碑

道幅が少し狭くなって金融機関が立ち並ぶ一角、生家である「喜多三(きたさん)呉服店」の跡地に建つのが、「古関裕而 生誕の地記念碑」。9時、12時、15時の一日3回、この記念碑から名曲が街に流れます。

パン・洋菓子・喫茶、思わず足が止まる甘美なワード

さて、福島駅からここまで歩くと、ちょっと一休みして余韻に浸りたくなるもの。古関裕而ストリートの終点、県庁通りにぶつかって歩道に沿って左に曲がったところで見えてきたのがこの看板。

オジマパン外観

パン・洋菓子・喫茶。大きな看板にリズムよく並ぶ、甘美なワードが足が止めるお店の名前は「オジマパン」。1933年の創業からこの界隈を見守ってきた老舗です。

オジマパンのサンプルケース

足の止まりどころは、看板だけではなくサンプルケースにも。ホットケーキやみつ豆、ピザトーストのサンプルが、おそらくは不動のポジションのままで飾られています。

お店の中は右手側にパンが入ったケース、左手側にはロールケーキやオムレットケーキが入った冷蔵ケースと、贈答用の焼き菓子のケース。オープンする朝9時からたっぷり並ぶはずのパンですが、お昼ごろには棚の半分以上が売り切れの状態。ご近所に暮らす方にとって欠かせないものとなっています。

奥ゆきのある喫茶スペースで名物を

オジマパンの喫茶スペース

圧倒的な支持にスゴさを感じつつ売り場の奥に進むと、広がっていたのは外観から想像しえない喫茶スペース。「このあたりには県庁や金融機関が多くて、昼休みにゆっくりしたい方が訪れるんですよ」とお店のおかみさん。聞けば二代目の奥様のようですが、なんと埼玉のご出身とのこと!

ということで「埼玉から来たんですよ」話で意気投合。現在は三代目となる息子さんがパンやケーキづくりに励まれているそう。技の伝承でお店の歴史が続くのは本当に嬉しくなります。

オジマパンのイートインスペース

カドの隅っこ、全体が見渡せる席に腰を下ろしてメニューを見ると、付箋が貼られた「オジマ特製ホットケーキ」の文字が目に入ります。

パンやケーキのおいしさの秘密は初代譲りの「直捏法」にあり

サンプルケースでもど真ん中にあったイートインの主役。ということで注文したのですが、「あー、ごめんなさいね〜。暑い時期は生地がダメになっちゃうから、ホットケーキはやってないの〜」と、夏には会えないメニューでした。

では、サービスセットにしようと思ったら、トースト用の食パンは既に予約で完売済み。ただ、そんなこだわりと人気ぶりを聞くほどに、お店への信頼とパン食べたい欲は高まるもの。「お店で売ってるパンを、ここに持ち込んで食べてもいいですか?」と尋ねたら「できますよ〜」という話をいただいたので、

オジマパンのロールケーキとアップルパン

ロールケーキとアップルパン、そしてコーヒーのセットをいただきます。

パンの生地は初代から直捏法で作っているそう。膨らみ方が自然で優しくいい意味でずんぐり。その分中身がぎゅっと詰まったように見える素朴な佇まい。アップルフィリングのシャキシャキした食感と凝縮された甘さとハリのある生地とのメリハリが抜群。ムチムチと頬張っているうちに、心地よくなってきます。

そして、ロールケーキのジャムはアプリコット。焼成された生地の香りとコクの強さが、ジャムのピュアな濃さをしっかりと受け止める。軽くふわふわな今どきのものじゃなく、しっとりしっかり。時代を超えて愛されるこのバランス、古関裕而が作る普遍的な曲の魅力に通じるところがあります。完成するまでにかかった時間を思うと、静かな大仕事に心の中で拍手が止まりません。

「斜め向かいにできた新しい病院の先生も、昼休みにウチのパンを買いに来るんですよ」と、80年以上に渡って変化する街に欠かせない存在として愛されるお店。夏を避けてホットケーキも食べたいですし、色々なパンを思い切り頬張ってみたいものです。

この記事を書いた人

takapu

ローカルフードデザイナー/伝承料理研究家/Local-Fooddesign代表。食にまつわるテーマを中心に、新商品・サービスの開発とリニューアル、プロモーション・コンテンツの企画制作。各種編集、取材、撮影、執筆、講演をワンストップで手がけています。サービス内容はこちら。>>Local-Fooddesign