12月の三州屋。寒空の中にもかかわらずお店の前には行列ができており、一人一人の食べ納めとなるかもしれない一食にたどり着くまで、木のガラス戸が開くのを待ち続ける。
7分ぐらい待ったところで入店すると、店内は寒空と正反対の暖かさ。人の数、店のお姉さん方によるテキパキとした動き、厨房の熱気、アツアツのご飯とお味噌汁の湯気、そして、揚げ物が生みだす熱。
賑わいの中で食べるカキフライの味は、大きさは先月とさほど変わらないものの、弾力には磨きがかかり、貝柱の繊維とのメリハリが効いた食感。カキの味も全体の濃度が高まり、一粒が生みだす味の印象が強くなっている。
ただ、2月や3月のピークの味と比べれば、この味はまだまだ変わる。だからこそ来年も待ち続ける。