【ダ サスィーノ/青森県弘前市】地産地消の理想像はここにあり!弘前でしか生まれないイタリアン

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弘前の夜、夕食として向かったのはどうしても行ってみたかったこのイタリアン。
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店内に入ると、まだ早い時間だったせいか、お客さんは自分だけ。なので、「どの席でも」と声をかけていただいたのだが、やはり、厨房を目の前にしながら食べられるカウンターに腰掛けたくなる。
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さて、このお店のディナーメニューは、3種類のディナーコースとアラカルト。ということで、おまかせコース(8,000円)を、チーズの盛り合わせを組み合わせて注文。炭酸水をパートナーに厨房の動きを楽しむことに。
・ブラックオリーブ、自家製のチーズ、ケッパーベリー
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最初の一皿は小さなポーション。だからこそ、丁寧に味を感じたくなる。
口に入れた瞬間、そしてかみ締めた時に広がる、それぞれが持つ世界。苦味やコク、いい意味でのクセ。そんな素材が持つ要素が、シンプルに引き出されている。
お皿が空になると、カウンターの横に大きなワイン箱が運ばれてきた。
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中に入っているのは、自家製のプロシュート・クルード。18ヶ月の熟成を経て生み出された味が、丁寧に一切れ、また一切れと切り出されていく。
このお店の一番の特長というのは、ハムやチーズ、そして野菜。可能な食材は全て、自家製のものを使っていること。つまり、本気の地産地消。
そんな生ハムが熟成されている場所は…
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お店の入口に設置されている、温度管理されたワインセラー。ここが生ハムやチーズの熟成庫としての役割も果たしている。シェフの笹森氏が日々刻々と変化する状態を見続けて、ようやく熟成完了となったのが今年の4月。
そんな、タイミングよく遭遇できたプロシュートや、これも自家製の3ヶ月熟成されたコッパ(肩ロースの生ハム)、スペック(豚モモのスモーク)、ソプレッサータ(サラミ)、鴨胸肉の生ハム。褐色のグラデーションで彩られた一皿が運ばれてきた。
・アッフェッターティ・ミスティ
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塩味と絡まる肉のエキスが濃厚なプロシュートに始まって、スパイスと肉の旨みの足し算が魅力のコッパ、個々の部位に宿る旨みがベストセレクション的に凝縮されたソプレッサータ、燻される様子が浮かんでくるように芳醇な香りのスペック、逞しい旨みがぎっしり詰まった鴨…オーケストラのように構成される一枚一枚が、強い印象を与える。
そこに加わるのが、自家製のルッコラとメロン。バルサミコで酸味と甘みが加わったルッコラの味は、生ハムに負けず…というよりは別のレベルで濃厚な味。メロンも「生ハムメロンにするのは勿体ないなぁ…」と思いつつ、プロシュートでくるり。出来上がったのは日本一の生ハムメロンだった。
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もちろん、パンも自家製。パリっと香ばしい皮の食感の後に広がるは、重厚なハーブの香りやドライトマトの酸味。
・スプーン前菜の盛り合わせ
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最初、コースを注文する際に、前菜の組み合わせに迷っていたのだが、ワンスプーンの構成も受けてくれるということで、出してもらったのがこの4品の盛り合わせ。
・朝じめシャモロックの胸肉カルパッチョ
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大鰐町にある農場から仕入れているシャモロックの胸肉に、軽くオイルをあわせたもの。でも、これがメチャメチャ旨い!
見た目から圧倒的な弾力の持ち主であることを発しているのだが、スプーンを口に入れてかみ締めると、想像をはるかに上回る弾力。そしてクニュクニュとかみ締めるたびに、甘みをも感じるエキスがこれでもかとあふれ出す。
とにかく、食べていて楽しくなった。
・焼きトリッパ
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表面が香ばしく焼かれたトリッパの上には、細かく刻まれたナスやトマトが。肉の強さに加えて野菜のコクや酸味がそれを更に引き出している。ただ、野菜自体がすこぶる旨いので、引き出すというよりはむしろ、相乗効果になっている。
・シャモロックのレバーソテー
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一言で、とろける。というより、完全に口の中でとろけた。飾らないシンプルな味付けだけに、圧倒的なレバーの力が際立つ。
・ガチョウのフォアグラテリーヌ
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デザートワインを吸わせた土台と岩塩という、尖ったものと丸いものとによる調味によって、フォアグラのコクが導かれ、口の中で絡み一体になると、心地よさ、というよりは気持ちよくなる。まだ前菜の時点なのに、こんなにも圧倒されるとは思っていなかった。

・アーティチョークのトルティーノ、自家製チーズのソース
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再び自家製素材の登場。自家栽培のアーティチョークをソテーしたものと、シェフが育てている烏骨鶏の卵黄、自家製チーズ、生クリームをタルト生地に流し込んで、席から見えるオーブンで焼いたもの。ソースは、自家製チーズとホワイトソースの組み合わせ。
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ムニュムニュ、サクサクとした不思議な食感のタルトの中で際立つのは、やはり、アーティチョークのクニュっとした独特な食感。そして、ソースの気持ちいい甘さ。チーズとチーズの組み合わせで、楽しい味の組み合わせが生まれる。それは、素材力に導かれたシェフの構成力が発揮されてこそ。
そして、ここからはパスタが2皿。
・ウニ、イカ、ドライトマトのソースが絡んだ、手打ちキタッラ
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ウニのすごいコク、イカのすごい弾力、ドライトマトのすごい酸味。このすごい組み合わせが絡んだキタッラと、ソースの強さがベストコンビとなっている。手打ちのキタッラの茹で加減も申し分なく、ソースに使われている一つ一つの材料の特長が、キタッラの食感によって更に印象的なものとなっている。
・烏骨鶏のタリアテッレ、カルボナーラ仕立て
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タリアテッレと同じような太さにカットされたアスパラガス、パンチェッタが絡んだ一品。
黒胡椒の刺激からスタートし、ムチムチとしたパスタの食感の上で繰り広げられる、アスパラガスの強い瑞々しさ、パンチェッタの塩で引き出された旨み。それをまとめているのが、烏骨鶏の玉子やチーズのまろやかな味。
ソースの味が強いにもかかわらず、一番アスパラガスの印象が残っているのは、見た目以上の存在感を、色々な部分で感じたから。
・イノシシと自家栽培野菜のグリル
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本当は、鯵ヶ沢産のイノシシが食べたかったのだが、あいにく、この日は入荷がなかったので、コンディションが同じだという輸入もの。
とはいえ、肉の滋味が焼き加減で引き出され、脂ではなく純粋にエキスがたっぷり詰まった味となっている。
そして、それ以上に旨かったのが、自家栽培の野菜。どれも香りが強く味も濃い!
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タマネギであればタマネギの味がこんな感じだったらなぁ…という理想どおりの味であり、丁寧に面取りされたニンジンも、口の中でうぉう!と広がる魅力的な香りと独特のクセ。ニンジンが苦手な人はこのクセがなかったらという感じなのだろうが、このニンジンはクセがあってこそのもの。
肉の滋味と野菜のカラフルな味を堪能した後、席に横にチーズが運ばれてきた。
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鯵ヶ沢の牧場からジャージー牛の牛乳を入荷し、色々な方法で生まれたもの。
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熟成によって醸成されたこの香り、このトロ~っとしたルックス、全てが魅力的。
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このチーズもワインセラーで熟成されている。棚ではなく発泡スチロールに入っていたのが、妙にハンドメイドな魅力をかもし出している。
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この日出してもらったのは6種類。手前に映るモスタルダ(イタリア語でマスタードの意味なのだが、果物を甘く煮込んだもの)と一緒に食べる。
いやぁ…チーズ単体でも濃厚で個性的で十二分に旨いのだが、モスタルダと一緒に食べると何倍も味が広がる。豊富なチーズに対する知識を持ってないので、相性うんぬんとかの話はできないのだが、ハードタイプとのメリハリが効いた味、ソフトタイプとの一体感。どちらもたまらない。

・朝摘み木苺とジャージーヨーグルトのムース、自家菜園ミントのジェラート添え
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ジャージー牛の牛乳の力が十二分に発揮された、まるでアクセルを全開にふかすようなコク、でも、しっかりと酸味が効いているところに、タルトの甘いアクセントが加わり、全体をミントの爽快感が溢れるジェラートが口をすっきりさせる。
そして、主役の木苺の酸味と甘みがとにかく心地いい。プチュプチュとした楽しい食感から広がるのは凝縮された野生の強さ。上に添えられたオレンジチップの不思議な食感と存在感も、アクセントとして効いている。
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食後のハーブティーと小さなお菓子。これを飲みながら、今日食べてきた料理の余韻に浸ろうと思ったのが…一口飲んで感動。はっきり言って、今まで飲んできたハーブティーが何だったのかと思ってしまった。
やっぱり、こんな素材を生み出す青森ってすごいし、シェフのこだわりもすごい。色々な要素に祝福された土地と熱い思いが組み合わさって生まれる料理こそが、本当の地産地消を教えてくれる。そんなことを教えてくれたお店だった。
次は、どんな食材を味わうことができるのか、楽しみでしょうがない。

【この記事を書いた人】

合同会社ソトヅケ代表社員/Local-Fooddesign代表

商品企画開発から執筆・撮影、ウェブサイト・パンフレット等のPRツール制作など。作ると伝え届けるの領域で、企業やお店の売上作りをサポートします。

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