ある人から聞いた弘前を味わう流儀。
「一つのお店に長時間居座るのではなく、いくつものお店をはしごする。」
確かに、自分の場合も弘前に来れば、立ち寄りたいお店が目白押しゆえ、胃袋が一つだけでなければ・・・と、決して大人としての流儀ではなく、本能だと言い訳して、はしごをすることが多い。
とはいえ、さすがに一日に7軒8軒とかは無理な話だったり、そもそも、お酒がほとんど飲めないゆえに、行きたいお店は限られてしまう。
そんな流れの中で最近、弘前に行けば訪れることが多くなっているのが土紋という居酒屋さん。
店頭に掲げられたのぼりにあるように、このお店は、弘前の地酒である「豊盃」の品揃えが豊富なお店。
ということで、自分もここに来れば豊盃を注文する。好きなぐい飲みを選んで、夜桜見物でちょっと冷えた身体を温めるべく、豊盃の「かんして美味しいお酒」をチビチビと口にしながら、美味しいおつまみを食べる。
で、注文するものも大体決まってる。だから、はしごするときも胃袋にその分だけ余裕を作っておくことができる。
ただ、ありがたいことにボリュームが一品料理ぐらいのお通しが出ることもあり、注文しすぎると手につかなくなるのが嬉しい悩み。
まずは、弘前市で作られている赤いウィンナー。ふわっと柔らかく、肉汁がじゅんわりと溢れ出す。
決してノスタルジーに浸りたいから食べるのではなく、旨いから食べたい。そんな感じに、赤ウィンナーの価値観を変えてくれる一品。
次に、津軽料理遺産にも認定されている「いがめんち」。イカゲソとタマネギと生地とを混ぜ合わせ、フライパンで焼いたもの。
いがめんちは、揚げたスタイルで提供しているお店が多いが、基本的には家庭で焼いていたことから歴史が始まった料理。だから、このスタイルが好きというのもあるが、単純にイカの旨さとタマネギの甘さが、日本酒に合う。
基本的に、上の二品とタラ玉を食べれば、自分的の満足度は100%になるものの、おなかに余裕があれば、新規開拓よろしくまだ食べてない料理を注文する。
得意料理に偏りがあるお店ではなく、「全部旨い」お店なので、どれを注文しても出てくるまでの間は、まだ未ぬ料理との出会いに対する期待しかない。
もちろん揚げ出し豆腐もイメージ以上のボリュームと美味しさ。
そして、締めに注文したのが田舎炒飯。
山菜がたっぷりと入った炒飯は、ありそうでなかったもの。和の代表的な食材である山菜との組み合わせ、そしてそのボリュームは、衝撃的だ。サービスでついてきた漬物も、とんでもない美味しさ。別に、盛り合わせを注文すべきだった…
弘前での流儀を教えてくれた方が話していたもう一つのことが、
「しまやさんは郷土料理のお店、土紋さんは家庭料理のお店」というもの。
確かに、この一言にお店の色合いが凝縮されている。ここに自分だったら、両方のお店に「最高の」という冠を付けたい。