津軽地方と言えば日本酒が似合う土地である。ただ、自分は下戸であり、特に日本酒や焼酎のようにアルコール度数が高いお酒となると、1滴飲めればという状況に近い。なので、地酒と一緒に口にする郷土の味というものを知らない。
そんな自分が足を運んだのが地酒がしっかり飲めるこのお店。店内はカウンター6席のみ。お店を切り盛りしているのが、弘前にある「酒の柳田」というお店でスタッフとして働いていた女性ということが、このお店の魅力を高めている。
さて、ここで注文したのは田酒、津軽おでん、そしてウーロン茶。まずは、ウーロン茶を飲んだのだが、ここで同行者に薦められて少しだけ口にすることに。
これを口にして、自分が日本酒が持つどの部分が苦手なのかが解った。
このお酒はお米の甘みがそのまま伝わってくる味。そして、まろやかなその味が口の中を覆いつつ膨らむことで、飲み込んだ後にはやさしくもあり強くもある余韻を残す。一方、自分がこれまでに口にしてきた日本酒は、どちらかというと強めのアルコール感から入ってくる味。つまり、最初の一口の印象が丸くやわらかく飲みやすいものであれば、日本酒でも口にできるんだと知った。
とはいえ、やはり体質的に何杯も飲めるものではなく、口にしたのは幾分かだけだったのだが、この味は印象に残る味となった。で、その勢いで津軽おでんを食べる。
青森おでんの特長は、一言で言うとショウガ味噌を絡めて食べること。このお店のおでん種は日替わりなのだが、今日は大根、こんにゃく、がんもどき、タマゴ、そしてツブ貝。
まず、あえてショウガ味噌を抜きにして食べてみたのだが、ダシがしっかりと効いており、どの具を食べても素材の味とダシの旨みががっちりかみ合っている。
ここで定番の赤蕪の漬物。すこし甘めに漬かったその味は、カウンターにいる心地良さを高めてくれる。そして、ショウガ味噌をかけた津軽おでんを注文。
このお店では、津軽味噌の白味噌を使っており、そこにショウガを混ぜ合わせている。それゆえに、煮汁の旨みがしっかりと口に広がるところで、さっぱりとしたショウガ味噌の刺激を含んだコクが二層の味をしっかりと作り出している。
このお店では、おでんに使う味噌の種類に、八丁味噌も加えようと試行錯誤中。そこには、青森の料理としてのショウガ味噌おでんにプラスアルファを加えることで、しっかりと自分のお店の味を作ろうとしている意思を感じた。
次に訪れるときには、その味を口にしながら一口でも多く、日本酒が飲める自分でありたいものである。