飯田橋・マレビトコーヒー 機能美と美なる果実
ある通りを車で走っていた時、
信号待ちの手前でちょっと気になるお店が目に留まる。
誰しもそういうことってあると思いますが、
自分にはこのコーヒー屋さんがその一つ。
飯田橋の駅と凸版印刷の間ぐらいに位置し、
ポロシャツのワンポイントにしたいような、
赤いロゴが貼られたガラス戸の先には、
小さなウッドテーブルと壁に飾られた何枚かの絵画。
無機質な外装から有機的でシンプルな内装に踏み入れる
十歩ぐらいの間に、お店の雰囲気に引き込まれます。
メニューも至ってシンプルに。
お店は深煎り系のタイプのようで、
マイルド、ストロング、ディープの三段活用が気になりますし、
もし今が冬だったなら、飲み比べをするんだろうと思います。
注文したのは、アイスコーヒーと
今日のスイーツとして用意されていたデーツ。
キャッシュオンデリバリー的に、
ドリンクと引換えにお会計を済ませます。
早速、アイスコーヒーを一口飲めば、
ストローから抜け出してくる、くっきりとした苦味と香り。
深煎りの何がいいかと言えば、この逞しさ。
そんな感覚を楽しませてくれます。
一方のデーツ、つまりナツメヤシのことです。
美容効果が高く女性向けのドライフルーツとされてますが、
まぁ、男性だって食べたくなります(笑)。
一口食べれば、小さな実に凝縮された濃厚な甘さが舌を駆け抜けます。
果糖とブドウ糖がたっぷりと含まれていることもあって、
まるで干し柿を食べたように甘さの密度が高く、
糖分がシャリシャリと歯に当たるような食感。
苦味がくっきりと浮き上がったコーヒーとの
相性はクセになります。
高速道路や大きな一般道沿いにもかかわらず、
静かな環境で最後の一滴まで飲み干せるというのも、
コンクリートの中に生まれたオアシスのような感じで、
なんとも居心地がいいもの。
こういうお店を見つけて、味を確かめて、
また来たいと思える瞬間に遭遇するまでのサイクルは、
本当に幸せなものです。