JALPAK presents 行っチャイナ!食べチャイナ!~中国ウマウマ食い倒れツアー~ その3・HOME’S私房菜にて、夜のバス車内にて。

02/11/2007海外,ひるたび・さんぽ

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 旨いランチと地元食フリークの皆様、ひるどきでございます!!!!!!
 ところで…現在のひるどきは何位になっているでしょうか?
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 地下鉄を降りて、地上への出口に迷いながらもホテルに到着し、さっきまで眼前にあった景色を切り取った写真をノートパソコンに移す。
 100枚近くの写真を移し終えたカメラをノートパソコンから離し、夕食の場所に向かうためにロビーへ。ここで合流したのが、今回のツアーを撮影される撮影班のお二方と、前日に上海に乗り込んでいたこちらの方。
 バスに乗り込み、暮れ行く柔らかい日差しを受けたビルを見ながら、向かったのは中国家庭料理のお店、HOME‘S私房菜。
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 私房菜というのは、マンションの一室で密かに営業している、隠れ家的なレストランのこと。日本にもこの形態のお店があるが、ここは、建物を構成する一室一室をマンションの個室のように考えているのか、それとも隠れ家的な雰囲気で料理を食べて欲しいということなのか。どちらにしても、店名の理由としては納得。
 円卓を囲むように座りお茶を注文するが、日本の感覚では当然の「冷たいウーロン茶」は置いてなく、お店の方が急遽購入してきたと思われるものを受け取る。
 中国の乾杯は、ガラスをカチンカチンとぶつけ合うのではなく、テーブルの淵に、グラスの底を当てて、ガンガンと音を出す。そんな不慣れで不思議な乾杯の後は、次から次へと料理が運ばれてきた。


・前菜の盛り合わせ
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 盛り合わせにしても、これだけでコースになってしまうほどに、色々なものが揃った。水晶豚、お酒の成分が入った汁に枝豆を一晩漬けた物、野菜の漬物…そして、一番印象的だったのが、細かく刻んだ馬蘭頭(まーらんとう)と豆腐干(どうふかん)を合えた前菜。
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 馬蘭頭は、中国ではポピュラーな山菜にもかかわらず、日本には出回らないというもの。細かく刻んだ馬蘭頭と、干した豆腐を細かく刻んだものを炒め、仕上げに香りづけの胡麻油を注いだ一品。
 胡麻油のコクと香りが、丁寧に細かく刻まれた馬蘭頭や豆腐に染み渡り、材料はシンプルながらに手間を加えることで、丁寧な旨さを感じる仕上がりになっている。
・棗(なつめ)餅。
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 中国原産の棗の皮に、お餅を入れたもの。アツアツで食べるのがベストなこの一品は、甘い味付けの中に棗の苦味が活きている。この甘さが、限りなくデザート的なのも印象的。
・スペアリブ
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 前菜にするにはもったいないようなスペアリブ。ハチミツの甘さが効いた濃厚な味は、骨の髄までじゃないがしゃぶり尽くすにもってこいの味。
・特製豚の角煮
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 黒酢の香りがよく効いた弾力に満ちた角煮は、そのぶ厚さと絡まる褐色のタレが食欲をそそる。
 下処理によって脂のしつこさが抜けており、脂身のシャクシャクした食感と、赤身のモチモチした食感のコントラストやぶわっと広がるエキス、そこに絡まるタレの個性が一体になった味が広がる。
 これもハチミツの甘さを効かせた濃い目のタレだけに白米が欲しくなるが、残念あいにく今日のラインナップには予定されておらず。
・ビール入りの焼き蝦
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 揚げた海老を炒める際に、たっぷりとビールを注いだもの。
 芳醇なビールの香りは焼きあがりの芳ばしい香りへと変化し、蝦の旨みを掛け算のように大きくする。また、この料理のツボは頭をガリっと食べると、味噌の旨みが広がり、冷めてしまったものを食べても、逆に濃さがいい意味で前に出るところ。
・魚の醤油煮
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 大きな川魚をブツ切りにして、キクラゲやタケノコと一緒に豪快に煮込んだ一品。
 見た目と違い、食べてみると淡白で繊細な作りになっている。薄い膜のように繊細な脂感や、フワっと軽い最初の食感と、そこから徐々に変変化する不思議な感覚。日本の川魚のように小さく繊細な味というものではなく、経験値的に申し分ない一皿。
・鶏肉と唐辛子のピリ辛炒め
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 唐辛子の巣に生きる鳥のごとく、3割の鶏肉と7割の唐辛子に1割の花椒という、えらく暴力的な組み合わせ。
 お肉は多少パサパサ感があったものの、唐辛子は見た目どおりの刺激を見事に披露し、ネギに潜んでいる花椒が、不意打ちのごとく刺激を口内に残す。これでピリ辛だという事実は悩ましいが…
・上海蟹と豆腐のとろとろ煮込み
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 本当は、ハマグリを使うところ、仕入れがなかったのか急遽上海蟹と組み合わせることに。元々の煮汁の味が、薄味ながらにマイルドで旨みありといったもので、どことなく日本食的な印象。ここに上海蟹が加わることが、味や食べ心地に大きなプラスアルファを与える。
・潮州風の魚湯葉
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 これは多少味が強めだったのだが、魚のすり身で作られた魚湯葉というアイテムそのものに関心。この素材だったら、どんな味付けにすると…といったことが頭の中を回る。
・中国野菜と金華ハム炒め
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 タレの濃さや刺激といった具合に、個々の料理に刺激がある中、この一品はかなりやさしい味つけ。夕顔と豆の丸い味を、金華ハムの旨みが後押ししている。
・牛肉とタマネギの炒め物
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 このお店の料理は、白ごはんとの相性がよさそうなものが多く、この一皿もまさにそれ。シャキシャキのタマネギと、しっかりと味付けられた牛肉。日本であればこの時点で、2杯目の後半ぐらいになってしまいかねない。
・季節野菜の炒め物
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 実に真っ当な野菜炒めは、シンプルイズベストな一品。チンゲン菜が非常にあっさりとした味で、口休め的な位置づけになっていた。
・四川風スーラータン
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 黒酢と胡椒が効いたスーラータン。日本だとラー油の辛味が強い店が多数ということもあり新鮮な味。
 個性が強い調味料を使っているだけに、ストライクとボールの判断が真っ二つに分かれる作りにはなっているが、いいボールだということは確実。スーっと黒酢の爽快感に近い余韻が長続きするのも、ストライク派にとっては至福の時。
・HOMESチャーハン
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 黒めのチャーハンは、このお店の名物料理。使っている米やお店のチャーハンに対する考え方を投影させて独自性を出そうとするとこうなるんだろうなぁという、味が決まる過程が気になった一品。個人的には、これが最初に出ていれば、白米代わりに使った可能性大。味のベースは醤油ではなく実は塩。
・デザート
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 薄甘のトロみがかった甘酒入りの白玉。黄桃の存在感が妙に大きかったのが印象的。
・季節のフルーツ
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 メロン、ナシ、そしてオレンジの水分が、さしずめラジオ体操の深呼吸のように締めくくる。
 今回のツアーで提供される食事は、上海蟹や北京ダックのように、歴史や特産物としての知名度が高い「判り易い中国名物」が多い中、ここは地元の方々が足を運ぶお店ということで、日本での知名度はないものの、地場産の食材を多様に使っていたり、調味料と食材の掛け算が、日本的な視点で見ると不思議な感覚になる、いわば「判りにくいけど中国の日常食」といったものが提供される。
 実は、旅行の印象に残るのは、こういった日常にありふれたような料理。期待値は小さくても、中国らしからぬ店名が英語のお店でも、心に残るのはまだ未ぬものに出会った瞬間の感動なのだ。
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 さっきまで腹一分だったお腹が、腹十分になったところで店を後にしてホテルに戻る。
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 大きなバスの窓から見える夜景からは、一つ一つの建物が生みだす色合いと陰影が、時に怪しげに時に鮮やかに浮かび上がる。そこから伝わってくるのは、単純に綺麗だという印象と、飲み込まんとするかのような迫力だった。
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 ホテルに戻った後、最上階にあるバーで、飲める人は飲める人なりに、下戸は下戸なりに、生バンドの演奏とアルコール、そしてソフトドリンクを楽しむ。自分はカメラを持っていなかったのだが、その模様は、こちらのページ下にある各人のブログにて。
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著者プロフィール

takapu

ごはんフォトグラファー/Local-Fooddesign代表
食にまつわる各種コンテンツ制作(フォトグラファー、エディター、フードライター、インタビュー)、商品開発・リニューアル提案、PRツール・ロゴ制作などを手掛けます。
創業75年以上の老舗食堂を紹介するウェブサイト百年食堂の制作・運営もしています。
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Posted by takapu