渋谷・DRINK4TOHOKU 優しい握手、優しいハグ。
青森で過ごした2年間が、下戸の身体を酒が飲める身体に変えました。
なので、日本酒を呑めるようになってまだ数年。
呑ん兵衛と呼ぶにはまだまだ未熟な自分です。
でも、旨いお酒と旨い食事を食べて東北を応援する。
そんなイベントが開催されるなら、未熟なままでも会場に足を運びます。
DRINK4TOHOKUは、4,000円の参加費のうち支援金500円以外の分で、
残りの金額で旨い地酒を楽しんで、旨い食事を堪能する。というイベント。
イベントが始まったのは今年の3月、テーマは岩手の地酒と料理。
で、6月に開催された第二回目は宮城がテーマ。
でも、どちらも都合が合わず断念したものです。
まだ暑さが残る9月の日曜日、
ようやく、会場に足を踏み入れたのは第三回。
最近、行く頻度が高くなっている福島がテーマでした。
入口で手渡されたのは、県内の酒蔵リストや、県にまつわるデータコーナー。
あるいは解いてるうちに福島県のことが染み込んでくる、
クロスワードといったコンテンツ山盛りのパンフレットと、地酒交換チケット3枚。
そして、東北わらしべグルメのデザインがされたメモパッド。
東北わらしべグルメは、一口500円の支援金を元に食品やモノといった、
イベントオリジナルの商品を開発し、原価+パッケージ代だけで販売するプロジェクト。
少しずつ購入代金が増えていき、そこに毎回の支援金が加算されることで、
わらしべ長者システムで規模が大きくなるという流れです。
この日のわらしべグルメは福島の飴。
オリジナルの味を口に含んで少しずつ溶け出す度に、
やさしさが詰まった甘さが笑顔にしてくれます。
さて、福島編の地酒ラインナップは全部で10種類。
甘口辛口純米純米吟醸。
お酒好きにはたまらない言葉が、寿限無寿限無のごとく並んでいます。
これをカウンターでチケットで引き換えます。
ちなみに、お酒を呑むグラスは松徳硝子の「うすはり」のアウトレット。
もちろん繊細な口当たりに違いはなく、アウトレットであることなんて、
最初の一口で忘れてしまいます。
そして、お待ちかねのお食事タイム。
このイベントでは、テーマ県の食材を使ったお弁当が、振る舞われます。
実は、このお弁当が楽しみなんです。
伝説のカキフライを生み出したあの方が調理したものなんですから。
この日は、福島を代表する地鶏・川俣軍鶏がふんだんに使われた弁当。
正肉、砂肝、つくね、皮の海苔和えに卵…余すところなく鶏を味わい尽くします。
このイベントの実行委員長、特製Tシャツにエプロン、そして帽子の3点セットが似合います。
スクリーンで紹介されているのが、わらしべグルメの飴ちゃんです。
そして、名物がスクリーントーンズ(ミニ)のライブ!
孤独のグルメのseason1から3のオープニングがメドレーで聴ける喜びは、
酒好きはもちろん、呑めなくても旨いもの好き、そして音楽好きなら
「おぉ!!!」となってしまいます。
そんな素敵なイベントは3ヶ月に一度のペースで、毎月11日付近の日曜日に開催されます。
そして、今日はDRINK4AOMORIの日でした。
3ヶ月前と同じように貼られたポスター、
エレベーターで10階の会場に上がります。
所用で1時間ほど遅れて到着したのですが、会場は既に満員御礼。
都内近辺に住む知人のアオモリストさんに席を確保してもらい、
なんとかスタンバイ完了となりました。
もちろん、チケット制のシステムは変わりません。
今日は八仙や田酒、亀吉に豊盃に鳩正宗に…と、
青森地酒のスター軍団がそろい踏みでした。
八仙のピンクラベルを、「たらたま」をおつまみに少しずつ呑んでいると、
お弁当到着の吉報が入ってきました!
この日の主役は塩漬山菜を水で塩抜きし、ホタテや鯛と一緒にごはんに散らした、
いわば山菜ちらしずし弁当。わらびやフキにミズのこぶ。
独特のシャクシャクした食感と、ほんのり残る塩味がごはんと酒を進めます。
そして、脇を固めるおかずには大鰐温泉もやしの姿も。
とことん長いその姿と温泉熱×土で育まれる独特の風味は、
やっぱり唯一無二の味。
今回は、少しクリエイティブな企画として、
青森のりんごを題材にしたポスターコンテストが開催。
最優秀の作品はりんごが生まれて食されるまでに経由する、
色々なモノコトをまとめた力作。
なんと、これを作る為にリンゴ版マインドマップも作ったとのことでした!
これ、相当に面白かったです。
そして、この日のわらしべグルメは気仙沼の小中高校生が開発に携わった、
サメの削り節を使ったふりかけ。
これが…旨いんです。あまりの旨さに酒の肴はいつのまにかこれにシフトし、
塩で酒を呑むおじいちゃんの気持ちが少しだけ分かったような。
そしてライブのコーナー。
前回もでしたが、ロンドンの地下鉄駅構内でギターを演奏し、
チップを受け取るバスカーとして活躍されていた土門秀明さんの、
心のドアを優しくノックするようなギターの音色と、
スクリーントーンズのライブの二本立て。
やっぱり、間近で聴く楽器の音は素敵です。
元々、あまりイベント系に参加することはないのですが、
このイベントの居心地がいいのは、
クリエイティブになりすぎてないから。
食材や食文化をプロモーションする時に、
グラフィックやウェブサイトとかが前に出すぎると、
プロダクトアウトならぬ「クリエイティブアウト」を感じてしまいます。
そうなると、記憶に残るのはその作品であって味ではありません。
もちろん、インパクトを残す為に握手したりハグしたりに通じる
コミュニケーションは重要ですが、強すぎると引いてしまうものです。
多分、きっかけと言うんだと思います。
でも、自分にとってそれはきっかけという名の
自己満足にしか感じないんです。
食べることそのものが好きというより、
食べるものに対して愛を説く自分自身が好きみたいな。
でも、このイベントは自分のタイミングで旨いお酒や料理を通じて、
対象となるエリアに握手できたりハグしたりできるのが、
とにかく心地いいんです。
初対面の人と透明なグラスを傾けて、美味しいものの話をすれば、
二回目以降はもうお友達。
その湯加減みたいなものがなんともたまりません。
どうやら、来年も開催されるようです。
また色々なモノコトと優しい握手やハグができることを、
楽しみにしています。