JALPAK presents 行っチャイナ!食べチャイナ!~中国ウマウマ食い倒れツアー~ その12・「全聚徳」にて

28/12/2007海外,ひるたび・さんぽ

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 旨いランチと地元食フリークの皆様、ひるどきでございます!!!!!! 
ところで…現在のひるどきは何位になっているでしょうか?
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 瑠璃廠(るりちゃん)を後にして、空が夕暮れ色に染まりつつある中、夕食のお店に向かうバスでは、なぜかサソリに関するレクチャーが、サソリストである某氏から展開された。今まで興味を持つことがなかった対象だけに、伺う話一つ一つに説得力があり、サソリというものに対する考え方が少しだけ変わっていった。
 そんな話が小さめのバスで展開される中、到着したお店は昼間にマスコットを見かけた北京ダックのお店「全聚徳」。
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 偶然なのか違うのか。昔、ポンキッキで放送されていた、チェッカーズの「ガチョウの物語」のPVを思い出してしまうぐらい、グラマラスなフォルムのダック風な石像が、お店のあるホテルの正面でお出迎え。
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 そして、部屋に入るとお店の方の優しい微笑みが出迎えてくれる。実は、フルバージョンで北京ダックを食べたことがなかった自分にとって、初めての体験が始まった。


・アヒルの水かき
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 最初に、前菜が6品あるというので、一口ものが揃うのかと思いきや、いきなり主役級が登場。骨を丁寧に外してやわらかく煮たものを、ワサビのタレで食べるというもの。厚みがある水かきのクニュクニュとした唯一無比に近い食感を、ツンとした刺激と共に食べる心地よさ。
・ニガウリ
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 苦味というのは、料理全体の印象を単調にせず、引き締める作用がある。
 このシャキっとした食感から広がる苦味は、口をさっぱりさせてくれる以上に、舌にメリハリをしっかりとつけてくれる。口がいかんなぁ…と思ったらニガウリ、といった具合に何度も箸を伸ばした。
・アヒルのレバー 塩味仕込み
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 塩水に浸してクセを抜き、食べやすくしたレバーは、それでも塩味から展開される強烈なコクとクセが残るのだが、それ以上の食べ応えあり。北京ダック的に、これを皮や野菜で包んだものを食べてみたい。
・アヒルの首の下の肉
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 アヒルの細い首を支える部分は、チャーシューで。逞しい弾力から展開される味は、ほんのりとしたエキス感と、ほんのわずかな辛味。言われなければ、アヒルの首の下だなんてわからないものの、逆に言うと経験値として大きな一品。
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 ここで料理長が登場。
 実は、このお店は銀座にも支店を展開しているのだが、ビルの5階という隠れた立地だったり、タイミングが合わなかったりと、自分も未訪。そこで2年間料理長として腕をふるっていたのが、この韓江さん。年齢が31歳だというのが驚きの一言。
・鴨肉とパイナップルの酢豚仕立て
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 予定されていたレモン味の鶏肉の炒め物が、急遽変更となり作られたのがこの一品。味のベースを豚から鴨に変えただけで、印象が180度変わるのは、やはり弾力に満ちた食感と、素材と調理法の掛け算に対する固定観念によるものか。
・ゴマ入り鴨レバーとサソリの唐揚げ
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 店に来る前に、サソリストによる話があったのは、この料理が予定されていたから。
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 たっぷりのゴマが衣となり、ゴマせんべいのように濃厚な鴨のレバーが施す不思議な味に、しっかりと揚げられたサソリの軽快な食感が、食べやすさの掛け算として膨らませる。サソリそのものの味は芳ばしさによる香り、そして自分の口の中にサソリがいるという意識が生みだすもの。
 棘の部分はしっかり噛まずにいると、口の中に一刺し。油断大敵だからこそ食べ甲斐がある。
・山の幸料理~竹の子、インゲン、アヒルの水かき、肉の炒め物~
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 アヒルの水かきの存在感と別の意味で、大きめに切られた筍の食感が、口に対する一種の違和感となるのだが、この素揚げによる香ばしさからつながる、ゴリゴリとした強い食感は、味を過度につけたら印象が反比例して小さくなってしまうタイプ。食べやすさを一番備えていたのはこの一皿。
 そして、個室に大きな主役、北京ダックが運ばれてきた。
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 この艶やかでグラマラスな肉体を、手際よく捌く手順は見事の一言。
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 1864年にこのお店の歴史が動き出したこのお店、実はスタートから今日まで平穏無事にお店が維持されていたわけではない。ただ、釜の中で熱して焼くという炙り焼きスタイルにて提供するという、今の形でリスタートをしてからは、多くのVIPも足を運ぶ名店となった。
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 そんな波乱万丈を経て今日まで受け継がれている味が、一枚一枚切り出されていく。
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 お肉の前に提供されたのは、首下のパリパリとした皮。これに砂糖をつけて食べるのだが、表面の強さと内側の脂肪分がほろほろと溶ける様は、「うぉ…」となってしまった。
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 きれいに一枚一枚の姿になったダックを食べるパートナーは、定番の皮やネギに加えて、ゴマ付きのバンズやきゅうり。
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 巻いたり、
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 挟んだり。
 皮だけの北京ダックと違い、肉も一緒に食べる食べ方のメリットは、ボリューム感としっかりと調理された身を食べずにどうする?的なアイデンティティか。皮と身の間に挟まった脂身を、身のエキスで皮の食感で食べると気分は高揚し、今までの生活の中で、満たされていなかったものが、満たされれていく。 
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 これは、ダックの舌と肉が入ったもの。レタスの瑞々しさが、モザイクのように集まったパーツパーツの集合体をスッキリとした後味にする。
・酒漬け鴨心臓の強火炒め
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 実は、これが一番熱々で食べたかった一品。一羽に一つ、そんな当たり前に思われる生命が、姿を変えて目の前にたっぷりと。ダックもその印象で贅をつくすという存在ではあるが、こちらも違った意味で贅をつくした一品。
 マオタイに一ヶ月ほど漬けてから干すという下ごしらえがなされた心臓は、いわゆる鶏の砂肝とはまったく違う性質の強い弾力、クセのない味。そしてマオタイと肉の組み合わせによる独特な風味。それは、単純に通り過ぎることができない味。
・季節野菜の炒め物
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 シイタケとインゲンの組みあわせが、定番でありつつ、一連の流れの中ではホッとさせる。
・ダックのスープ
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 ワンタンに包まれた肉の旨み、これを起点として二層三層と折り重なる旨みの強さが徐々に広がっていく。
・点心
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 ドラゴン麺を揚げてケーキスポンジ仕立てにしたケーキ、一言で言うとアイデアの勝利、二言で言うと甘さが際立った味で、塩分寄りだった口の状態を一気に変えてくれる。
 種類で圧倒され、部位ごとの味の違いで圧倒され、そして味で圧倒される。やっぱり、本場で食べることで身につく経験値は、一生の基準となるかけがえのないものである。
 今日もご覧いただきありがとうございます。もう一押し、お願いします。人気blogランキングへ。
 ところで、この中国ツアーがGYAOで配信中です。必見です。

著者プロフィール

takapu

ごはんフォトグラファー/Local-Fooddesign代表
食にまつわる各種コンテンツ制作(フォトグラファー、エディター、フードライター、インタビュー)、商品開発・リニューアル提案、PRツール・ロゴ制作などを手掛けます。
創業75年以上の老舗食堂を紹介するウェブサイト百年食堂の制作・運営もしています。
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Posted by takapu