阿武隈地域の食文化をふんだんに盛り込んだ駅弁「あぶくま御膳」。いよいよ明日からJR福島駅で発売です!

11/05/2015福島,東北,和食,テイクアウト

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今から数年前。阿武隈地域に住む農家のかーちゃんたちは、自らが育んだ米、野菜、そしてこれらを元に作った加工品を直売場で販売したり、農家レストランや農家民宿の場で心を込めた手料理で、お客様を温かくもてなしていました。

ところが、東日本大震災によって発生した原発事故。それまで住んでいた故郷が避難区域に指定されたかーちゃんたちは県内外に避難し、平穏な日常の生活は失われてしまいました。

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ですが、かーちゃんたちは諦めませんでした。これまで培ってきた技術を活かす場所として、福島で「かーちゃんの力・プロジェクト」を設立したのです。

仮設住宅にお住まいの方にお餅を振る舞うことで、地域コミュニティを再構築する「結もちプロジェクト」や加工品の販売など。代表の渡邊とみ子さんを中心に、震災からの復興に向けて様々な取り組みをしてきました。

そんな、かーちゃんたちが取り組んでいるのが食文化の伝承。

飯舘村を始めとした阿武隈地域の食卓に並んできた料理の特徴や調理法、ずっと台所で作り続けてきた方々のライフストーリー。
また、今も福島では加工が難しい凍み餅や凍み豆腐、凍み大根といった、阿武隈の食文化を象徴する「凍み文化」の技術伝承。

一連の取り組みは、「あぶくま食の遺産」プロジェクトを母体とし、県外の高校生や農家さんとの協力の輪は少しずつ大きくなり、幅広い世代に対する記憶と技能の伝承が進んでいます。

そして、いよいよ明日からその一貫として開発された駅弁が発売されます。

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その名は「あぶくま御膳」。阿武隈山系の自然環境に囲まれた地域で作り食べ継がれてきた伝承料理を、ふんだんに盛り込んだ駅弁です。

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中身は全て、かーちゃんたちの手作り料理。凍み大根と身欠きにしんの煮しめ、ひき菜炒り、鶏肉のいも床焼き、フキの油炒り、いかにんじん、かぼちゃ飯、しその実の一升漬け、そしてかぼちゃ饅頭。

どの料理もお正月や農作業等の人寄せといった行事食としてのストーリーや、食糧が少なかった時代の知恵と工夫が詰まったものです。

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3月末に開催した最終試食会。お招きしたのは、食卓でこの料理に触れる機会が多い福島の方ですが、料理を召し上がった瞬間に優しい笑顔が生まれました。
そして、会話が弾む姿を見ると、食卓の記憶こそがコミュニティのかすがいなんだと感じさせられました。

ベッドタウンに生まれた自分の故郷には、こうした地域共通の記憶となる料理はありません。
その存在を静かに誇らしく思われている姿や、「昔よく食べたよねぇ。」の一言は、きっとこのお弁当を企画した自分が持ちたかった感情なんだと思います。

いつまでも失われて欲しくない。そう思います。

あぶくま御膳-05
そして、今回発売するあぶくま御膳には、駅売りのお弁当タイプの他に、イートインで提供する御膳も用意されています。
こちらには、お弁当に入りきれなかったおかずと、季節ごとの汁物がセットとなります。

食卓の多様化が和食を象徴すると言われていますが、その根本にあるのは昔から地域の食卓に欠かせなかった料理。食文化の新陳代謝が進む中でも、体幹のようにずっと食卓に残った料理の価値は決して色褪せることがありません。

心にじんわり染み込み、安らぎを感じさせる味。旅やお仕事で福島駅を訪れた際には、ぜひお召し上がりください。

【あぶくま御膳】
■お弁当
価格:1,080円
販売場所:JR福島駅西口みどりの窓口前・特設販売コーナー
(6月末までに、販売場所が東口「おみやげ処」に移転する予定です)
※お弁当の団体客向け大量提供については、下記のあぶくま茶屋にお問い合わせください。

■飲食店提供
価格:1,300円
提供場所:
・あぶくま茶屋
福島県福島市松川町金沢字船場3-27
TEL.024-567-7273
ka-cyan.chikara@siren.ocn.ne.jp
・かーちゃん農園わぃわぃ
福島県福島市栄町10−3キッチンガーデンビル1階
TEL.024-573-2634
FAX.024-573-2409
ka-chanwaiwai@crocus.ocn.ne.jp
※どちらの提供場所も3日前までの事前予約制とさせていただいてます。また、大量提供についてもご相談ください。

著者プロフィール

takapu

ごはんフォトグラファー/Local-Fooddesign代表
食にまつわる各種コンテンツ制作(フォトグラファー、エディター、フードライター、インタビュー)、商品開発・リニューアル提案、PRツール・ロゴ制作などを手掛けます。
創業75年以上の老舗食堂を紹介するウェブサイト百年食堂の制作・運営もしています。
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Posted by takapu