青森県平川市・大十食堂 Aセット(730円)
小説・津軽百年食堂。
今年の3月に発売されてから半年経過するが、今も津軽地方で代々続く食堂を舞台にしたこの小説を片手に、県内外の観光客の方が小説のモデルとなった食堂を巡る旅を楽しんでいる。
で、モデルとなった食堂の数は、全部で10軒。これが世田谷区ぐらいの面積に収まっているのであれば、交通の便もよく意外に簡単に回れてしまうのではと思うが、いかんせんそこは青森県。車で移動するのが基本形。
その中の一軒である大十食堂。
足を運んだことがある方も同じ経験をされたかと思うが、お店は交差点の角、しかも信号のある交差点なので、進入方向を誤ると少し駐車場に車を入れるのに技が必要だ。
で、このお店の名物が炭水化物+炭水化物+炭水化物という、ある意味で外国人クリーンナップのように破壊力のあるAセット。一瞬、たじろいでしまうものの、やはり名物とあれば食べない理由はない。
注文して約10分で運ばれてきた盆には、これぞエネルギー源といった具合に、ラーメンと焼きそば、そしておにぎりが鎮座している。
澄んだ色のスープのラーメンは、焼き干しダシと豚骨のマッチング。パワーと技がしっかりと両立したスープと、モチモチとした手打ちの麺とのバランスがいい一品。
そして、焼きそば。こちらも手打ち麺。サラダ油ではなくラードを使っているのに、食べやすいのはソースのブレンドに技ありだから。ラーメンがあっさり型で焼きそばが強め型という具合に、実は緩急が効いている。
で、そんなペアにおにぎりが組み合わさる。漬け物も付いてくるものの、個人的にはこれが漬け物のポジションとなる。でも、スープとの相性もよし、ソースとの相性もよし。2個あってもいいのではと思ってしまうが、ここは炭水化物トリオだということを忘れてはならない。
この食堂ができたのは、約120年前。十字路にあった馬車の停留場の近くにできたお店だということもあり、大”十”食堂。お昼時は駐車場は満杯なことが多いが、それを上回る食後の満腹感の魅力にはかなわないはずだ。