高松へ、徳島へ、瀬戸内へ。〜その6 ART SETOUCHI/犬島「精錬所」その2〜

18/01/2012岡山,ひるたび・さんぽ

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巨大な煙突のすぐ側に、ガラス張りの空間。
遺構が残るこのエリア一角に構えられたアートスペース。
右奥にある入口から中に入れば、ある一点が煌煌と輝く暗闇の回廊を経て、
三島由紀夫をモチーフとした数々の作品と対面。
「ヒーロー乾電池」と名付けられた一連の作品群、
そのゴールもこの空間です。
「おー」だったり「お!」だったり。
作品ごとに感じた驚きの違いを上手に表せないけれど、
自分の驚き方には違いがあるんだなぁと、確認できました。
で、その一角には「精錬所カフェ」というお休み処があります。


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フードメニューやデザート、そしてドリンク。
一通りセットが組めるようなラインナップが揃っていたので、
朝食代わりに注文してみました。
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前日の夜にも食べた「ゲタ」のミンチが挟まれた犬島サンド、
犬島のテングサで作られたコーヒーゼリー、
そして、たっぷりのショウガが効いてる犬島ジンジャー。
島の周りで育まれた食材が使われた料理を食べながら、
目の前の海を眺めていると、朝日が上る瞬間から夕日が沈むまで、
一日中この場所に居たくなります。
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カフェの壁には、この島を俯瞰した立体模型。
今いる場所を確認して、精錬所巡りを続けることに。
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一段一段丁寧に、細い階段を上って高台へ向かいます。
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かつて、炉だった場所には、緑が映えていました。
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見下ろせば、そこには規則的に建てられた煉瓦の壁。
空の青に白い雲、そして草木の緑。
瀬戸内の海を囲む自然の色と、
鉄とガラス、そして銅が混ざり合って生まれたカラミ煉瓦の色合いは、
あまりにも対照的。
でも、この対比こそがこの島に流れていた時間そのもの。
そう思うと、この眺めが犬島を象徴しているのかもしれません。
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横に目を送ると、2本の煙突の姿。
右側の煙突方面に行ってみましょう。
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そこは、発電所跡地。
かつての犬島にとって、ここが心臓部。
色々な場所と銅で繋がっていた時代の忘れ形見である壁と煙突は、
強く、でも少し寂しそうに立ち続けていました。
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今、アートという手段を媒介に、
色々な場所と繋がっている精錬所。
自分も、煉瓦を踏みしめた足下の感触が、
この地で働いていた方の歴史でもあることを記憶に刻むことで、
過去の時間と少しでも繋がってみたいと思うものです。

著者プロフィール

takapu

ごはんフォトグラファー/Local-Fooddesign代表
食にまつわる各種コンテンツ制作(フォトグラファー、エディター、フードライター、インタビュー)、商品開発・リニューアル提案、PRツール・ロゴ制作などを手掛けます。
創業75年以上の老舗食堂を紹介するウェブサイト百年食堂の制作・運営もしています。
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Posted by takapu