久しぶりに、旨い白飯が食べたくなって魚竹へ。たまたまあった空席に座り、店頭のメニューから刺身の盛り合わせ定食を、ご飯大盛りで注文。
まず、おかずの前にご飯一式が運ばれてくる。熱々のご飯から立ち上る湯気の香りは、深くやさしく、いつの間にか喉の奥まで満たしてくれて、本能に「食べなさい」と訴える。
割り箸を二つに割っておもむろに口に入れると、舌の上に旨みがふわっと、そして咀嚼するごとにじわっと広がる。この炊き加減、あまりにも理想的過ぎるので、固いとか柔らかいとかじゃなく、言うなれば旨い炊き加減。
そんなご飯と共にしたメシの友は、梅干、漬物、出汁がしっかりと効いた味噌汁、そして、たっぷりの脂や甘みを携えたお刺身。これらと共に味わえる幸せがたまらない。一心不乱にたまらない。
育つまでに八十八の手順を要する日本の宝は、ただ一つ、食べるという手順によって、何物にも変えがたい喜びへと変わる。
そんなことを思い起こさせてくれるから、この店が好きだ。