目白の駅を出ると、うだるような暑さが身体を襲う。
でも、この氷を食べることを思えば、
炎天下なんて、ただの前置きにしかならない。
堆く積まれた氷の山を、上から順々に取り崩し、
まるでスープカレーのように、イチゴの果肉がたっぷりの
シロップに浸す。
一口一口、まるで煮詰めたような濃厚な甘さと氷とが、
一体になった味を楽しみながら、
身体の温度を少しずつ下げていく。
氷の量3分の1ぐらいになったら、
おもむろに残りのシロップと一緒にかき混ぜる。
で、これを飲み干す。
なんて贅沢な瞬間なんだと思う。
食べきったところで、ほどよく飲み頃になったお茶を飲むと、
やや強めに冷えてしまった身体の塩梅が、丁度いいものとなる。
こんなに暑い日々が続くなら、
夏なんて季節いらないと思ってしまうが、
ここに来てこの生いちごのかき氷を食べれば、
そんな気持ちはあっという間に消えてしまう。
店を後にすると、外はやっぱり炎天下。
でも、これは次に氷を食べるまでの、
長めの前置きなんだと思えば、
暑さなんて、どうってことない。
目白・志むら 生いちご(800円)
