【山田商店/青森県弘前市】白く軽やかな北の大学いもは、先入観を180度変える。
山菜、三忠食堂の津軽そば、開雲堂のつともち…春の訪れを告げる食材や料理が数多い弘前ですが、逆に春が訪れれば、この黄色い看板とはしばしのお別れとなります。
9月に始まりさくらまつりが始まる頃までの間に、中土手町を彩る大学いもの文字。この誘いを断る理由はありません。
たっぷり積まれたサツマイモのダンボールに囲まれた店頭を包み込む、揚げたて熱々のサツマイモの香り。ここに立っているだけでも、幸せな気分にさせてくれます。
よく見る大学いもとの一番大きな違いは色。黒砂糖と水飴でコーティングされた濃い茶に対してこちらは白。飴色に揚がったさつまいもに白砂糖をまぶせば、熱で少しずつ透明な膜へと変化していきます。うっすらと雪化粧を施したかのようなこの色合いは、自分の大学いも観を変えてくれました。
販売単位は100グラム。でも最低200グラムはいきたいところ。いつも少しだけおまけしてくれるのも嬉しいポイントです。
包装紙を解くとお目見えする、素朴で力強いデザインのビニール袋。プリントTシャツのデザインにしてもいけそうです。
さっきまで、さつまいもの熱を受け止めて透明になっていた白砂糖も、冬場の空気に当たれば少しずつまっ白に固まっていきます。
サックリと軽快な口当たりの砂糖と、ほっこりしたさつまいもの食感。やさしく広がるほのかな甘さが、砂糖の口溶けで少しずつ増していく感覚。熱々で食べるのと少し冷ましたものとで、違った表情を見せてくれるのが面白いんです。
これは冬場だからこそのおいしさ。しばらく会えなくなるのも仕方がありません。ただ、逆に考えると厳しい北国の冬の訪れを、楽しみに思わせてくれる存在だからこそ、愛おしさも増すというものです。