東銀座・鳴神 ミニ大阪寿司と胡麻うどん(980円)
晴海通りから入る、歌舞伎座を左に見る道は、シチューの銀の塔や、あばれまんじゅう定食の樹庵、サンドイッチがパワフルな喫茶アメリカン等、マガジンハウスのある交差点まで、その長さは短いながらも、色々なお店が集積しているエリアである。
そんなエリアにあって、この道では珍しく白い壁が目立つのがこのお店。ここは和カフェながらにして、大阪寿司と胡麻うどんをしっかりと楽しめるお店。
店内に入って、SEIKOの温かみがある掛け時計が近くにある、カウンターの一席に座ると、赤が鮮やかなカフェとしてのグランドメニューとランチメニューが運ばれてきた。
ランチタイムでも、宇治茶や7132という釜入り茶、そしてこれらを使ったスイーツや、紀州南高梅と数種類の砂糖を使った自家製梅ジュース等が書かれた、グランドメニューの商品も注文できるとのことだったが、ランチメニューからお茶と並ぶ名物である、大阪寿司と北海道産の胡麻うどんのセットを注文。
更にグランドメニューを読み込んで、メニューの中に「これは食べたい」というお菓子を見つけたタイミングで、大阪寿司と胡麻うどんが運ばれてきた。
まず、胡麻うどんが運ばれてきた時に、「おぅ!」と口走ってしまった。それほどまでに見た目の印象が強く残るうどんであった。
まずは、これをつゆに浸さずに食べると、ものすごく滑らかな口当たりから、噛んだ瞬間のずっしりした固さへの変化。かなりメリハリが利いた作りになっている。
そして、つゆに浸して食べると、辛くもあり少し甘さをも感じるつゆの味と、うどんの食感の変化が一体化し、不思議な旨さに変わる。正直、うどんを食べつくしてしまうのでは、という勢いになりそうだったが、ここで大阪寿司を食べる。
大阪寿司は、鯖、海老、穴子、そして太巻。脂と旨みと〆加減のバランスが印象的な鯖、海老の食感とシャリのコントラスト、少し甘めの穴子、そしてボリュームも旨みも十二分な太巻。シャリの酢が強くなく、ほんわりと柔らかく効いているので、個々の具の旨みをしっかりと感じることができる。
また、印象的だったのが、箸休めとしてお皿に盛られたお茶の葉の佃煮。ゴマのコクと最後にじわっとあふれ出すお茶の葉のわずかな苦味。この組み合わせが、大阪寿司とのコントラストになっている。
うどんを食べて、大阪寿司を食べて、うどんを食べてという単純な動きの後には、白玉が運ばれてきた。
あんがしっかりと甘いので、中途半端な印象を与えないことに好感。
よく考えると、北海道と大阪の組み合わせという料理構成は珍しい。どちら北海道の味・大阪の味として確立されているからだ。しかし、このお店のようにお互いを補いつつ長所を発揮させる、単なる寄せ集めではない、地方料理のコーディネート力というのは、今後の飲食店におけるメニュー開発に求められる、大きな要素の一つかもしれない。