久しぶりの椎名町。
以前に訪れた中華料理店と反対側の駅前は、
工事によって道幅が狭くなっているものの、
長崎神社を起点に、大盛りの肉そばが名物の立ち食いそばや、鯛焼き屋さんなど、
立ち寄り心をくすぐるお店が立ち並んでいます。
で、そんな駅前のシンボルである商店街の入口に、
去年の暮れ頃にできたのが1軒のカフェ。
元々、この場所にあったという老舗の果物屋さんが、
カフェとして生まれ変わったものなんだそうです。
「いらっしゃいませ」の声が耳心地よく、
まるで井戸端会議のような空気に出迎えられる。
引き戸の先にある空間は、そんな感じです。
で、駅方面を眺められる2階のカウンター席は満席。
ということで、井戸端会議の末席に加わることに。
「このお店は初めて?」
「あ、初めてです。」
「このお店のことはどこで知ったの?」
「あ、ウワサで…(笑)」
優しい微笑みを湛えたおじさまは先代のようで、
果物屋さんらしい調子で声を掛けてくれました。
さて、注文したのは果物屋さんのカフェということで、
フルーツたっぷりの「のらパフェ」。
キンカンやキウイのフルーツ酢が置かれたカウンター越しに、
パフェが作り上げられていく姿を伺いつつ、
先代の奥様とおぼしき方と会話を交わしながら、
待つことしばし。
目の前に運ばれてきたパフェは、大きく分けると三層構造。
出てくるまでにちょっと時間がかかったのは、
全てに丁寧な仕事が施されていたからです、
1層目は、丁寧にカットされたたっぷりのフルーツ、
その真ん中にバニラアイス。
柿やキウイ、あるいはオレンジやグレープフルーツの柑橘類、
そして洋梨にイチゴにパイン。
眺めるだけで幸せになのに、
果物の心地よい酸味や濃厚な甘さを口にすると、
たまりません。
2層目はたっぷりとイチゴが使われたお手製のシャーベット、
そこにバナナが隠れています。
シャリシャリのシャーベットが口で融けると、
酸味と甘味がすっと広がり、
1層目の中心にあったバニラアイスやバナナと混ざり合えば、
そのバランスの取れた味に唸ってしまいます。
そして、3層目はベリーのソースと小さくカットされたりんご。
ベリーの甘味が凝縮された甘さと、シャキシャキの食感は、
お腹と気持ちを十二分に満たしてくれます。
果物そのものの味と、個々の味を引き出す仕事の融合。
まるで地層のようなパフェの層は、
これまで積み重なった、
お店の時間を感じさせてくれます。
そんな体験をすることができる、
この井戸端会議の場所に、
早く戻ってきたいものです。
椎名町・cafeのら のらパフェ(650円)
