静岡県富士市・とあるお店 大変です!「しぐれ焼」を堪能していたら、とてつもないかき氷を見つけてしまいました!!
お総菜天国なお店を出たものの、本当は後ろ髪引かれっぱなしの状態。でも、待ち合わせの時間まであとわずか。ということで、吉原の商店街を走ってこちらの方と合流。で、その足で昼食を食べるべくとある老舗のお店へ移動。
そこは、かの方が昔から通っていたというお店で、外観は新しくも暖簾をくぐると、真ん中に大きな四角い鉄板を囲む席があった。3方には椅子がセットされており、残りの1方がおばちゃんの指定席。
そこで焼いてもらうのは、「しぐれ焼」。前に、富士宮でも食べた、焼きそば入りのお好み焼きだが、ここ富士市にも同じ麺を使ったしぐれ焼があったのだ。ただ、メニューにはお好み焼きの横に、「しぐれ入り150円増」と書かれていたので、「しぐれ=麺」なのかもしれない。
そもそも、しぐれ焼きのしぐれが「時雨が地面に打ちつける音」から来ている説があるものの、「しぐれ=麺を焼く音」とするならば、じゃぁお好み焼きを焼く音はどうなんだろうと考えてしまう。
当然、お好み焼きの生地を焼く音も、しぐれのように打ちつける音を発する。でも、麺ほどに大きな音はしない…もしかすると、麺を焼く音のほうが大きいので、一時的に降る雨がその場所に通り過ぎるように、お好み焼きという場所に、時雨という麺が通り雨のように加わるので、「しぐれの役=麺」ということなのかもしれない。
…なんて想像をしているうちに、鉄板上では卵や豚肉が入ったしぐれ焼きが完成。アツアツのところに、魚のダシ粉がふりかかる。
あとはヘラでいただきます。
これは両面焼きではなく、片面焼いたところに金属のフタをかぶせるので、フワフワの状態とカリカリの状態が入り混じった楽しい食感。卵が全体をまろやかにし、肉が旨みを与え、粉と粉の共演は胃袋に満腹の余韻を与えてフィニッシュ。
そんなときに、メニューの裏面を見るとかき氷の文字。そこには、イチゴ、メロンといった定番のシロップだけではなく、「かんろ」の文字。久し振りに見たこの文字に惹かれておばちゃんに注文。
このお店のかき氷歴は長く、今も使っているのは電動になりたてのかき氷機。伺うと、「複雑な作りじゃないだけに、故障しにくく使い勝手がよくてねぇ。あと、氷の粒がいい大きさなのよ。」とのこと。いやぁ…期待が高まる。
ところが、次に聞いた話で思わず絶叫んでしまった。
「昔は、栄養補給のためにかんろの氷に、生玉子を入れて食べていたのよ。」
…にわかに信じがたい食べ合わせだが、それを聞いてしまったからには、注文をメニューに書いてない玉子入りにしなければならない。シャカシャカと小気味いいリズム、そして生玉子が入ったかき氷という、今まで聞いたことがない日本語。そんな「たまごおり」がついに目の前に。
見える!見える!!見える!!!器の底に、熱でカラメル状の色合いになったかんろとは違う黄色が見える!!!!
すぐさま、スプーンで発掘する。すると…
生!おぉ…と、興奮してしまった。「かき混ぜて食べてね」ということで、かんろだけの味を確かめる前に、氷をかき交ぜる。かき氷を食べるときに「生玉子を馴染ませて…」なんて、生まれてから考えたことなかった。
固まってる!!冷気で卵が固まってる!!!しかも、白身はつるつるのまま!!!
そんなルックスのかき氷を恐る恐る、でも例えようがない期待感とともに口に運ぶ。これが…旨い!!!!まるで、ミルクセーキのような甘さが口いっぱいに広がる。やさしいかんろの甘さとともに、固まった黄身の不思議な食感、そして白身のつるつるが運ぶ不思議すぎる食感。
この粘り、メレンゲのような白糸の滝のような粘り。こんなかき氷があるなんて夢にも思わなかった。でも、確かに旨い。そして優しい。人工的な着色のかき氷と断然違うのは、温かみがあるこの味。
昔、栄養を補給するためにこの食べ方をしていたとのこと。もし、これが富士市のご年配の方にとってスタンダードなのであれば、凄すぎる。
やっぱり、自分は旅に出たらこのたまごおりのように、人の歴史を育くんできた味が食べたい。そして、このかき氷には無限の可能性みたいなものを感じた。それは、静岡県に住むこの方も同感されたこと。やっぱり、宝物は眠っているものだ。