中村橋・やきにく家 最後の晩餐。
6月の最終週となると、牛レバ刺しの食べ納めのムードは更に佳境に。
で、自分が食べ納めをしようと思ったのはこのお店。
1階のゲームセンターを含めて、味わい深い佇まいです。
小上がりの席に座って壁に貼られたメニューを見ると、
「レバ刺し」の文字も見納めかと、ちょっと切なくなります。
ということで、最後の一皿となる牛レバ刺しが運ばれてきました。
艶やかな姿、たっぷりのネギにゴマ。そして、漬けタレはごま油。
実はこの日は1テーブルにつき、1人前のみという条件つき。
なので、このお店の名物メニューだという、
味噌タレのレバ刺しは注文することができませんでした。
でも、最後にこの姿に会えればいいんです。
プルンプルンの食感、トロっととろける独特の風味。
最後の一切れを食べ終えた時、ちょっと目が潤んでしまったのはここだけの話です。
もちろんレバ刺しが主役ですが、クヨクヨしても仕方がありません。
お肉もたっぷりといただきましょう。まずは、タン塩から。
凹みに七輪を差し込み、ダクトが煙を吸い込んでくれるので、
美味しい香りだけが食欲を刺激してくれます。
タンの食感と旨みもさることながら、
たっぷりのネギ塩ダレがタン塩の醍醐味を一層際立てます。
次に、上カルビ。ワサビ醤油でいただきます。
七輪に滴る脂が炭の動きを活発に、
熱々を頬張れば全身に力が漲ってきます。
味噌ダレハラミには卵の黄身を絡めるのですが、これが相当に旨いんです。
旨すぎて沈黙が流れてしまうのが、唯一の欠点です。
そして、ロースも焼きましょう。
グシュグシュ噛む度に味を引き出すこの感じ、
これぞ焼肉です。
塩ホルモンを大量に乗せたら、
グラディウスのように七輪から立ち上る炎。
じゅんわり溢れる脂の甘味がたまりません。
食事は、ビビンバを。
石焼きではないビビンバのいいところは、
ご飯+焼肉の感覚で食べられること。
そして食後のデザートは、
蜂蜜がたっぷり入った金属トレイでバナナを炙って…
アイスと絡めます。
熱々のバナナがアイスを溶かし蜂蜜と絡んだ味は、
「これだけを食べに来たい!」と、思ってしまいます。
食後、お店のご主人にレバ刺しの話を伺うと、
6月は市場に回るレバ刺しの絶対量が少なかったとのこと。
一人でも多くの方にレバ刺しを食べてもらいたい。
そんなこともあっての、1テーブル一皿だったようです。
牛レバ刺しを囲む最後の晩餐で、
素敵なお店に巡り会えました。
やっぱり、食文化はどういう形であっても、
人を繋いでくれるものです。