大山・鏑屋 牛レバ刺しに花束を。
ここ数日、自分の周りでよく耳にするのが、
「どこで牛レバ刺しを食べ納めるか?」という件。
牛レバ刺しという食文化に触れられるのは、
今日を含めてあと2日。
戦後以降に広がったこの財産が、
途切れてしまうことは本当に残念なことです。
ということで、大山の至宝たる鏑屋に足を運んで、
早速牛レバ刺しを注文しました。
歯に当たると薄い膜がパチンと弾け、
トロっと中身がとろけ出します。
舌に絡まるこの感覚、
そして、肉々しいコクと風味。
やっぱりかけがえのない味です。
元々、ここはモツ系に強いお店。
ということで、大定番の煮込みも注文。
ふわふわの柔らかさ、臭みなく上品で優しい味。
串だってもちろんモツ焼。
個性のある弾力と唯一無二の味。
内臓料理の真髄です。
こちらお初となるレバーフライ。
レバーのコクがヒタヒタに絡んだソースの酸味で、
たまらなく旨いものになってます。
レバーフライを出す店が多い月島を初めとして、
たっぷりとソースが絡んでいるのがレバーフライらしさ。
でも、もしもクセの強さを消すためのソースだとしたら、
このお店のレバーフライは塩でいいのかも。
と思ってしまうぐらいのクセのなさです。
締めは、とうもろこしのかき揚げ。
サクサクの心地よさと、甘いエキスの美味しさが、
一つになって楽しめます。
誰かが食べ継がなければ接点が途絶え、
食文化はあっという間に淘汰されてしまいます。
郷土料理の伝承活動をする端くれとして、
これだけ接点が多いものが失われることに、
驚くしかありません。
誰しもが「美味しい」の言葉の語り部になれることが、
接点の多い食文化が持つ一番の強み。
やっぱり、最後は
「美味しかった!ごちそうさま!ありがとう!」で、
この食文化を見送りたいものです。
きめ細かい配慮と高い技術をもって、
提供し続けてくれた全てのお店に対して。