「困った時は、老舗に行け。」
ランチタイムのイス取りゲームは、
ちょっと迷ったら最後の一席が埋まってしまう。
そんなことも多々ありますが、困った時は老舗に行けば、
笑顔になれる率が高いものです。
で、ある日の昼に足を運んだのがお多幸。
元々、ごはんの上におでんのダシが染みた豆腐が鎮座する、
「とうめし」が気になっていたところで、ようやく訪問となりました。
安定感と不安定感が両立する不思議な姿、
この器を見るだけで、顔には微笑みが浮かびます。
早速一口、ふんわり軽い口当たりの豆腐は想像以上の美味しさ。
じっくり浸かった甘めのダシが、じゅわっと染み出してきます。
豆腐に対する「主役のあるべき姿」みたいな拘りは無用、
物足りなさなんて皆無、大満足な仕事が鎮座しています。
そんな看板役者に合わせたごはんを頬張れば、
少し固めに炊き上がっている気遣いが嬉しく感じます。
べちゃべちゃになるなんて、粋じゃありませんよね。
じっくり煮込まれた牛すじと大根の煮物が、更にご飯を進め、
シジミの味噌汁を飲みながら、仕上げに味付け卵をぱくり。
お昼から贅沢な手仕事に触れられるなんて、
贅沢じゃありませんか。しかも、650円。
本当にありがたいです。
で、ある金曜日。
またもやお店に足を運ぶと…
これはいけません、早速注文しなければ。
いやぁ…もう、すごいことです。手仕事のオンパレード。
じっくり柔らかく煮込まれた牛すじとコンニャク、
そこにお豆腐。この組み合わせでご飯が進まないわけありません。
汗を滴らせつつ豪快に頬張って、
しじみのおみそ汁やたくあんで舌をリセットし、
再び勢いよく頬張る。
いい意味で体力を消費するので、
食後に飲む冷たいお茶がまた旨いんです(笑)。
これで750円、お財布の守護神に感謝。
どうして老舗がいいのかを思うと、
誰もが愛する味という、
絶対的な安心感があるんですよね。
未知なる味への冒険も大切ですが、伝承も大切。
みんなが無意識に発する美味しいの記憶は、リレーされるべきもの。
だから、これからも迷ったら老舗。
これなんです。