日本橋・お多幸 とうめし(650円)と牛すじ丼(750円)
「困った時は、老舗に行け。」
ランチタイムのイス取りゲームは、
ちょっと迷ったら最後の一席が埋まってしまう。
そんなことも多々ありますが、困った時は老舗に行けば、
笑顔になれる率が高いものです。
で、ある日の昼に足を運んだのがお多幸。
元々、ごはんの上におでんのダシが染みた豆腐が鎮座する、
「とうめし」が気になっていたところで、ようやく訪問となりました。
安定感と不安定感が両立する不思議な姿、
この器を見るだけで、顔には微笑みが浮かびます。
早速一口、ふんわり軽い口当たりの豆腐は想像以上の美味しさ。
じっくり浸かった甘めのダシが、じゅわっと染み出してきます。
豆腐に対する「主役のあるべき姿」みたいな拘りは無用、
物足りなさなんて皆無、大満足な仕事が鎮座しています。
そんな看板役者に合わせたごはんを頬張れば、
少し固めに炊き上がっている気遣いが嬉しく感じます。
べちゃべちゃになるなんて、粋じゃありませんよね。
じっくり煮込まれた牛すじと大根の煮物が、更にご飯を進め、
シジミの味噌汁を飲みながら、仕上げに味付け卵をぱくり。
お昼から贅沢な手仕事に触れられるなんて、
贅沢じゃありませんか。しかも、650円。
本当にありがたいです。
で、ある金曜日。
またもやお店に足を運ぶと…
これはいけません、早速注文しなければ。
いやぁ…もう、すごいことです。手仕事のオンパレード。
じっくり柔らかく煮込まれた牛すじとコンニャク、
そこにお豆腐。この組み合わせでご飯が進まないわけありません。
汗を滴らせつつ豪快に頬張って、
しじみのおみそ汁やたくあんで舌をリセットし、
再び勢いよく頬張る。
いい意味で体力を消費するので、
食後に飲む冷たいお茶がまた旨いんです(笑)。
これで750円、お財布の守護神に感謝。
どうして老舗がいいのかを思うと、
誰もが愛する味という、
絶対的な安心感があるんですよね。
未知なる味への冒険も大切ですが、伝承も大切。
みんなが無意識に発する美味しいの記憶は、リレーされるべきもの。
だから、これからも迷ったら老舗。
これなんです。