雑司ヶ谷・Reels ダッチコーヒーとトロピック
地下鉄で雑司ヶ谷の駅に行き、
鬼子母神の手創り市で白くて大きなプレートとクロスを買い、
近くにある鶏肉屋さんで鶏の唐揚げを買った帰り道。
都電が通り過ぎるのを待つ道すがら、踏切のすぐ先、
左側に見える青いファサードの喫茶店に入ろうと決めた。
珈琲の香りに包まれた店内、
壁に飾られているのは、無数の釣具。
ここは珈琲店でありながら、
ルアーフィッシングのリール専門店でもあるお店。
だから、店名には「西洋釣具珈琲店」というサブネームがつく。
そんなお店で注文したのは、
ダッチコーヒー(水出しコーヒー)と、
トロピックというケーキ。
珈琲やスイーツが出てくるまでのお楽しみは、
窓側の席に座ったなら都電が往来する姿。
早稲田方面のホームが目の前にあるので、
数パターンのラッピングが施された都電の姿が楽しめる。
日差しが少し強く感じるようになった時、
笑顔入りの紙ナプキンと共に
コーヒーとケーキが運ばれて来た。
季節柄、やっぱり水出しコーヒーを飲む機会が多くなっているが、
このお店のコーヒーを一口飲んだときの印象は、
「これは勢いで一気に飲んじゃいけない」というもの。
まるで、お店が珈琲に対して書くラブレターを、
拝見させてもらうような感覚。
手間をかけて書き上げられた名文だからこそ、
流し読みなんてしちゃいけない。
だから、ゆっくり、ゆっくりと。
そして、トロピックというケーキ。
マンゴーのクレムー、ココナツのダックワース、
ココナツのムース、パイナップルのコンポートという組み合わせ。
見た目からして、
時間をかけて丁寧に作り上げたことが分かる一品。
フォークで一口分を切り出して、口へと運ぶ。
で、あっという間に口から消える。
美味しすぎる。
一瞬にして、さわやかな甘さとコクが一気に咲き誇る。
プリンも食べたくなってしまったが、
それは次回のお楽しみにしよう。
お店の前を走る都電は、のんびりと走っている。
それは、日常の中にある非日常の象徴。
そして、このお店の味も日常の中にある非日常のような存在。
でも、手に届く。
こんな幸せがたまらない。