青森市・あんちゃん ポークソテー(1,200円)

04/04/2009青森,東北,洋食,よるどき

「青森市の住宅街に「あんちゃん」という飲食店があります、さて、どんなお店でしょう?」
このお店を知らない人は、おそらく居酒屋さんとかラーメン屋さんをイメージするかもしれないが、そのお店は洋食店。しかも、帝国ホテルの厨房で腕を磨いたシェフのお店だ。
だから、このお店に行くときは妙に期待が高まってしまう。どれを食べても旨いのは分かっているからこそ、今日はどんな旨さが出てくるんだろうと。
この日もそんな期待を胸にお店に行って、新しくメニュー入りしたポークソテーを注文した。
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まずは、手作りドレッシングが注がれたサラダ、日替わりの味噌汁ではなく、味噌仕立てのスープが運ばれてくる。シャキシャキと瑞々しい野菜や、鶏の旨みが効いたやさしい味を楽しんでいると、厨房に立ち上る火柱の姿が見える。
それから少しだけ待つと、「お待たせしました」という声と共に、すごいソテーがお目見えした。
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まるで、わらじのようなソテーの厚みは約2センチ。しかも、隣に添えられたナポリタンが、完全にメインと対等関係になった太っ腹な一皿。
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ほんのり甘口で気持ち酸味が効いたトマトベースのソースが、赤身の肉汁と脂身から溶け出すコクの旨みを高める。シンプルなソースだからこそ、肉とソースの両者がしっかりと主張された味になっている。
一口、また一口とグシュグシュ噛み続ける。それに比例してエキスが広がり、口の疲労感を忘れさせてくれる。
そんなソテーの合間に食べるナポリタン。
ケチャップだけが勝った味ではなく、バランスよくトマトの味が出た洋食屋さんのナポリタン。アルデンテから一歩やさしい食感なのに芯が通った食感。ベーコン、マッシュルーム、玉ねぎの定番具もしっかり絡む。
食べ終わりには、お腹には他のものが入る余地がなくなってしまうボリューム。ごはんが進む味を知りつくしてこその味だから、そんな量にもかかわらず一気に食べてしまう。
そういえば、あんちゃんとはあまり話したことがない。厨房に一人で立ち、一生懸命にフライパンから立ち上る火柱を操る背中を見ていると、声を掛けるのが申し訳なくなるからだ。だから、一品一品に熱い思いを込めるあんちゃんとの会話は、これからも皿を通じて続けていこうと思う。
でも、「ありがとうございました」と言ってくれるあんちゃんの顔、実はものすごく素敵だったりする。もしかすると、これを見るために通っているのかもしれない。

著者プロフィール

takapu

ごはんフォトグラファー/Local-Fooddesign代表
食にまつわる各種コンテンツ制作(フォトグラファー、エディター、フードライター、インタビュー)、商品開発・リニューアル提案、PRツール・ロゴ制作などを手掛けます。
創業75年以上の老舗食堂を紹介するウェブサイト百年食堂の制作・運営もしています。
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Posted by takapu