年末年始の青森は、例年以上の大雪に見舞われました。
青森市内から国道で弘前に向かう道すがら、除雪が行き届きにくい住宅地の狭い道には雪の壁が高く積まれ、車がすれ違うのも難しい状況。朝になればスコップで除雪をする。でも、数時間後には再び雪の壁の高さは元に戻る。今年の冬は身体に厳しいものとなっています。
白く覆われた街の姿。それは土手町でも変わりませんでした。立ち寄ったひまわりも同じで、黄色い花が満開に咲く前にエネルギーを蓄えるごとく、白に囲まれていました。ちょうど、お昼時だったこともあったのでミートパイにしようと思ったのですが、メニューを見ればグラタンの文字が。
回転率を重視するお店、例えば都内の飲食店なんかでは、ランチタイムにグラタンを提供するのは少数派。でも、こんな寒い日だからこそパリパリのチーズに覆われたホワイトソースが恋しくなるものです。
数あるグラタンメニューから選んだのは、生ハムグラタンセット。
安定感のある容器にたっぷり入ったホワイトソースとそれを覆う大きな生ハム。フォークで崩しつつホワイトソースのコクで身体を温めると、中には幅広のパスタが隠れていました。巻いて巻いて頬張るうちに、ポットに残ったのはたっぷりのソース。
そこで、傍らに添えられたバゲットの出番です。サクサクパリパリのコンディションをホワイトソースに絡めて食べると、気泡の中にソースがじんわりと染み込みます。少しやわらかくなった皮の食感も楽しく、寒さを忘れる時間を楽しく演出してくれます。
食後の珈琲を飲みながら表の寒さを忘れていると、時間が進むことも忘れてしまいます。でも、自動ドアが開いた瞬間に感じる澄んだ空気の心地よさ。まるで、サウナと水風呂のような関係。
日々の生活の中では、雪がもたらしてくれるいいコトなんてそんなに多くないのですが、これは数少ない空の恵み。そして北国の喫茶店が持つ醍醐味です。