青森県青森市・ろばた鎌蔵のらくろ
弘前から青森に戻り、駅のホームから陸奥湾の方向を眺めると、a-factoryの一帯が優しい色の灯りで照らされてました。
これは、青森雪あかりという冬季観光イベントのようで、大小様々な灯籠が小径のように立ち並びます。
灯りに見とれてすっかり冷えきった身体を暖めようと、一軒の居酒屋さんに向かいます。
お店の名前よりも「のらくろ」や「黒猫がいるところ」。
そんな通称で語られるこのお店、呑み屋慣れしていないとなかなか入りづらいかもしれません。
カウンター席に座って店内を見渡せば、壁にはサインやポスターや色々なブツ。
今までお店に流れた時間が、雑踏のような形で凝縮されているかのようです。
「ビールは入口のケースから持ってきてね!」
ケースに積もった雪の蓋を払って東北限定ホップのビールを持って戻ると、お通しのポテサラに生姜味噌おでんが待っていました。
男の手料理感たっぷりのサラダのボリュームと、生姜味噌の温かさが心に染みます。
今日できるお刺身ということで出してもらった3品、イカの甘さとアジの脂、そしてマグロの旨さ。
醤油を上から注いで混ぜ合わせる豪快さが、お店らしさだなぁと。
手を動かしながら、吉田類が来た時の話や、昔話が止まらないご主人。胸をパチパチと素早く叩く仕草がいい感じです。
そんなご主人に作ってもらった貝焼きみそ。
弘前でいう「たまごみそ」をたべることが多く、ホタテの身が入った貝焼きみそを食べるのは久しぶりです。
薄めか普通かで味付けを尋ねられるのですが、ここに来たら普通、つまり津軽の味で食べるべき。
塩辛さではなく軸がしっかりした旨さが、海苔の香りに乗って旅先の口に届きます。
酒が進むだけでなく、会話が進む。
隣に座るお客さんと、偶然に共通の話題があることに喜ぶ。
元々、青森市は青函連絡船による交易の地。
色々な方と交わることができるのは、きっと土地柄なんでしょう。