奥原宿と呼ばれる神宮前二丁目の商店街、ここにお店を構えるのがirodori。
カラフルなストライプが走る建物は、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)に関する情報発信をする、カラフルステーションと協同で運営されています。
中に入れば、壁や天井付近にゲイの方が制作したアート作品が飾られていて、木の温もりに満ちた店内で存在感を放っています。
メニューに並ぶのは、エスニック料理をベースとしたラインナップ。
特にベースの中心となっているタイ料理自体も、東西アジア諸国の食文化の影響を色濃く受けたジャンルですが、メニューにも日替わりメニューで貝の盛り合わせがあったり、ボリューミーなステーキがあったり、まるでジグソーパズルのように色々なピースが並びます。
まずは貝の盛り合わせから。この日は岩手産、宮城産、そして北海道産が揃い踏み。磯の香りと凝縮した甘さ、そして滑らかな外套膜の食感をおもむろに。
お次はピータン豆腐。爽やかな香りとタレがフワフワの豆腐に混じり合って、濃厚なピータンの存在感をやさしくホールドしてくれます。
そして、里芋のコンフィとハモンセラーノ。オイルベースのソースと生ハムの濃厚な組み合わせが、表面が香ばしく染まった里芋の風味を彩ります。
そして、ステーキは熟成和牛イチボ。時間をかけてカリカリに焼かれた表面と、眩しいピンク色に染まる中心部。
固いお肉だったら「噛み潰す」といった感じで、少しずつお肉の味を引き出す必要がありますが、サクッと噛み切れる歯触りと、噛むほどに溢れる瑞々しいエキスからは、重たさを微塵も感じさせません。お皿の上で肉汁がじわりと溢れるのを見れば、まるで口の中を見ているかのようです。
唐辛子ベースのアリッサペーストを乗せて食べると、深みのある刺激でお肉の進みが早くなるのですが、これ自体がヤミツキになる美味しさ。お肉の姿と共に、余すことなく食べ尽くしちゃいました。
メインの後は軟骨入り肉団子ときのこフォーで。
目の前でフワッと広がる香草の香り、軟骨の歯触り、クニュっとしたキノコの食感。旨味がしみ出すスープに染まった滑らかなフォーが、材料の個性的な部分を受け止めています。
締めのデザートは、ココナッツとミントシロップのブラマンジェ。口の中を爽やかな香りが包み、ココナッツの風味が隅々まで行き渡ったブラマンジェの甘さがフワッと軽快に。
彩りのある料理、彩りのある空間。こうしたお店で食べることで、心も身体も豊かになるものです。