東武東上線の中板橋で降りて、石神井川沿いの桜を見に来てみれば、全体的にはまだ五分咲きといったところ。
だからこそ、川沿いを歩きながら蕾が閉じた木々の中に、ピンク色に染まった木を見つけるとうれしくなるものです。
そんな足で向かったのが、久しぶりの1ROOMCOFFEE。
レジカウンターの傍らにあるチョコレートマフィンを視界に入れつつメニューを見ていると、アイスの文字が恋しくなっていることに気がつきます。
ということでアイスアメリカーノと、マフィンと悩んだ末にチーズケーキを注文しました。
一口目から広がるのは、エスプレッソの香りと苦味がしっかり溶けこんだ濃厚な味わい。時間が経って氷が溶け出しても、深煎りのグラマラスなコクがへこたれることはありません。
ただ、それ以上に驚きだったのが、お供のチーズケーキにフォークを入れた瞬間。
フォーク越しに伝わってきたのが、限りなくクリーミーなのに薄い膜で覆われているかのようなチーズ。チーズとクリームだけで作り出される絶妙な固さは、食べる前から人に勧めたくなるほどの衝撃でした。
口の中の温度で、今にも滑らかに溶けださんとする滑らかなチーズのコクと酸味が、ボトムのしっとりした口当たりと交われば、声としては小さく、でも心の中では大きな感嘆の声が出てしまいます。
離れたテーブルにいたお客さんが、「チーズケーキ、美味しいですよね」と、マスターに話しかけると、「桜の季節は、型一本分多く焼くんです。すぐに無くなっちゃうんですけどね」とのことで、チーズケーキは人気のアイテムみたいです。
「型一本分食べたら、飽きちゃいますよ」なんて、マスターは笑顔で言うのですが、この感覚を知ってしまったら、やっぱり誰だって一本食べたくなるものです。