青森県黒石市・全国やきそばサミットin黒石 そうか、これがロールモデルなんだ。
午前9時を少し過ぎた頃、
黒石市の中心街には、無数の行列。
そのお目当ては、全国から黒石に集まった、
ご当地焼きそばの味を堪能すること。
先週末、青森に行った最大の目的は、
このイベントに参加することでした。
午前10時の販売開始の声と共に、列は少しずつ前に動き出し、
陽射しの強さと鉄板の熱さ、そして出展団体の情熱によって、
黒石は秋の季節らしからぬ、ちょっとした暑さに包まれたのです。
自分が最初に並んだのは、長野県伊那市から出展の「伊那ローメン」。
こちらのブログを見て以来、気になっていたものの、
東京でこのメニューが食べられるお店が1軒しかないと知り、
気になってお土産用のローメンを買い求め、自宅で作ったりもしたもので。
そんな感じで、自分にとって幻メニューだったローメンと、
いよいよ対面する瞬間が。
そして、行列の折り返しで、向かいのブースに出展していた、
福島県浪江町の「なみえ焼そば」を購入しないわけにはいきません。
今回は浪江焼麺太国を統制する太王の姿はなかったものの、
お客さんの手に焼きそばが渡るごとに、
お返しの「がんばってね」の声が聞こえていたが印象的。
初めて食べるローメンは、
ニンニクの香りが強めに効いたビール向けの味。
マトンの香りを打ち消して、食欲を増幅させるヤミツキ系の刺激と、
ざっくり切られたキャベツの甘さが、甘辛刺激な味を、うまくまとめた一品。
しかも、もみじおろしの薬味が更に味を複雑で深いものに。
実はローメンには炒め系のものと、スープ系の2種類があったり、
王味の餃子も含めて、ニンニクたっぷりという魔法に自分は弱かったり。
食後には早くも伊那市に行かねばのスイッチが入りました。
そして、なみえ焼そば。
一番最初に食べた時の味と比べて、
少しマイルドで食べやすくなったような感じを受けつつ、
モヤシと豚肉、そしてトレードマークの太麺がズルズルと勢いよく、
胃袋の中に収まって行きます。
なみえ焼そばについては、今週11日から全国のローソンで、
このようなキャンペーンが展開されていて、
やはり食べ続けることが支援なんだと、改めて思うところです。
次に向かったのは、前日の一番人気だったという
岡山県真庭市から出展していた、「ひるぜん焼そば」
ここの焼そばを一言で表すなら、
「信頼と安心の味噌ダレ。」といった具合。
鶏肉の噛みごたえシャキシャキのキャベツ、
そこに甘コクな味噌ダレが絡んだ焼きそばの味は、
誰もがきっと安心できる味。
鉄板の上で踊る湯気の香りにも、
並んでよかったと思える優しさが一杯です。
そして、宮城県石巻市から出展の「石巻焼きそば」。
もちろん、長蛇の列だったのですが、何よりも印象的だったのが、
鉄板の下とブースの上に掲げられた、2枚の布。
元々、このイベントは東日本大震災直後には
中止も検討されたものの、やきそばのまち黒石会の方々が、
石巻に炊き出しに行った際、石巻茶色い焼そばアカデミーから、
「絶対に参加する!開催して欲しい!」という話を受けて、開催に至ったもの。
人と人、地域と地域を、焼そばという共通点で繋ぐ。
そんな具合に食べ物を軸に地域を繋げることも、
出展団体が所属する、愛Bリーグの目的としているところ。
2枚の布に記されたメッセージが、その象徴。
繋がるものは色々です。
元々、やさしい味付けがされている麺なので、
そのままアツアツをズルズルと。
やっぱり、美味しいんです。
目玉焼きを絡めて食べると、
元々滑らかな麺が更に滑らかになり、
コクが増していくという相乗効果。
何皿でも食べられるのは、きっとこういう味なんだなぁと。
このあたりで、行列が更に長くなり、品切れのブースも出てきたので、
全種類食べることをあきらめて、
黒石でよくお世話になるcafe dramaへ。
普段は女性一人で切り盛りしているお店も、
この日は繁忙日につき、お二人でのオペレーション。
内装も前の物件で使っていた家具から、
自分がセレクトしたり組み立てた家具へとシフトし、
益々、いい感じのカフェになっています。
特製チキンカレーを食べながら、
街を歩く人の顔を眺めていると、
美味しい顔をした方々が、街を回遊している姿が多く見られて、
このイベントの意義を象徴していると思ったのです。
今回のイベントは、黒石の中心市街地を回遊しながら、
全国の焼そばを食べられるように、ブースが一ヶ所に固まってないのがポイント。
なんだかんだといって、
ご当地グルメのイベントは一ヶ所か二ヶ所の広いスペースで
開催されないといけない感じがあるものの、
そもそも、食べ物をきっかけに街を知ってもらうことこそが、
ご当地グルメの存在意義なので、そんな料理が生まれ育った街を回遊してもらうことが、
あるべき姿のはず。
そのためには、ボランティアの方々による協力や、
本部によるしっかりとしたマネジメントシナリオとか、導線幅とか交通規制の話とか、
色々な準備が必要ではありますが、
それが達成されると街には予想以上に賑わいが生まれ、
多くの人が会場となる街のことを見知りすることになります。
例えば、ご当地キャラクターが色々な会場を練り歩いたり、
地元の子供と触れ合ったり。
神出鬼没な出現なので、ついつい街歩きしながら
追いかけてしまいます。
例えば、このイベントが開催される前に、
出展団体が黒石の学校を回って、
レシピを教えたりすることで交流を図ったり。
このイベントの食券には、
出展団体へのメッセージカードがついていたのですが、
それを投函する段ボールの箱には、
学生さんによる手書きのイラストが書かれていました。
つまり、そういうことなんだと思います。
利益は街で享受するもの。
それがご当地グルメによる地域活性化の本質なんだと。
それは、周辺の街が参加することで、
賑わいは更に増していくものでもあります。
今回のイベントでも、軽トラック市が出展していたり、
弘前で販売されている、黒石名物のこけしが小さくなったイヤリング、
あるいは生ほうずきのコンポートやジャムになったものなど、
色々なモノが提供されていて、周辺を訪れる動機のきっかけにもなったと思います。
「へぇ、こんな場所があるんだ。」
「なるほど、このお店のお赤飯は、やっぱり旨いんだ。」
食べ物を軸として、
更なる街の魅力が色々な方に共有される時間。
これは地域活性化イベントの、
ロールモデルになるんだろうなぁと思った1日なのでした。