八戸市・朝っぱらから旨いもん食って、ひとっ風呂浴びて何が悪い!!! ~極楽系・朝の旅「あさぐる」~
どちらかというと津軽地方に縁が深い自分にとって、あこがれの対象となっているのが、八戸の朝市文化。八戸市内には三日町や六日町といった市日がついた地名が残っており、そこで開かれた朝市の文化が、今でも湊日曜朝市や陸奥港駅前朝市といった姿で残っている。
一方、2010年12月に予定されている東北新幹線・新青森延伸に向けて、現在の終着駅である八戸の周辺では、通過駅ではなく下車駅としてのレゾンデートルを強く打ち出さんと、色々な仕掛けが展開されている。
そんな仕掛けの一つになっているのが古くからの朝市文化と、漁港のある八戸ということで、県外からの漁師や船員さんの疲れを癒したであろう朝湯文化を、二次交通で連結したミニツアー「あさぐる」。
やっぱり、旅先の朝飯が旨くて風呂が最高だったら、観光客にとっては言うことなしの朝時間。となると、どんなツアーなのか気になるところ。
ということで、さっそくツアーの窓口となっている提携ホテルで1,000円払って申し込み。ツアー参加の前日・夜10時までに申込をすればOKとなり、その場でタオル、石鹸、シャンプー、そしてタオルの銭湯セットがもらえる。これだけで、朝への希望が高まる。やっぱり、朝はラジオ体操の歌でも歌われているように希望の朝じゃないと。
翌日の早朝、集合時間になるとホテルにタクシーがお出迎え。まだ、夜から朝へとスイッチが切り替わってない空の下、まどろみと肉眼に映る景色は流れていく。
気がつくと、いつの間にかそこは陸奥湊駅。そこでは、朝市文化を教えてくれる八戸市営魚菜小売市場と、
グラマラスなイサバのカッチャがお出迎え。
ズラっと出迎えてくれた市場内のお店には、海の幸がたっぷり。太陽の光で目覚める朝もあれば、魚の姿で目覚める朝があったっていい。
で、この市場内には飲食可能なスペースがあり、買った刺身や煮物・焼き物をその場で食べることができる。そうなると、お店に並ぶ商品を見る目が変わり、「これ食べたい!」「それも食べたい!」となる。
更にダメを押すかのごとく、飲食スペースの目の前に惣菜コーナーがあり、熱々のごはんやお味噌汁、あるいは麺類だって食べることができる。そして、4人でテーブルに並べた結果は・・・
こうなる。お刺身はもちろんのこと、
すじこがあって、
イカゲソを煮たやつがあって、
から揚げだってある。
もちろん、こんな感じにマイ丼だって楽しめる。賑やかな空間で味わう賑やかな食事は、目には彩りの栄養を与え、身体には美味しさの栄養を与えてくれる。もう、たまらない。大好きだ。
たっぷり味わって、残ったお刺身をお土産としてパッキングしてもらったら、市場の外には明かりが射していた。こんな時、カゴを背負ったイサバのカッチャの姿がとっても眩しく見える。
駅前で待っていてもらったタクシーには、しっかりと「あさぐる」のステッカー。
東京で黒塗りタクシーを運転するドライバーさんの接客が、ホスピタリティに満ちているのと同じように、このステッカーのドライバーさんも接客に満ちている。おなか一杯になった自分が、次に向かう先までゆっくりとまどろんでいられたことが、その証拠。
さぁ、今度は朝風呂だ。
銭湯にもいくつかの選択肢があった中で、名前がかわいくて選んだのが卵湯。普通のお風呂のほかにも、打たせ湯、ジャグジー、サウナに薬湯、電気風呂…こうなると、銭湯というよりもスパ施設。でも、しっかりと内装は昭和。その姿がありがたし、フルーツ牛乳も旨し。
この「あさぐる」。実は2月下旬までの限定で展開されていたコンテンツだったものの、好評につき4月以降に復活する模様。ただ、その内容や価格は決まってないらしい。
確かに、普通に考えれば八戸駅周辺のホテルからタクシーで陸奥湊駅まで行っただけで、1,000円はかかる。つまり、客としてみれば「元、取れすぎ。」となる。
こっちに住んでいて思うのは、安さに甘えすぎると安さの恩恵を受ける期間が少なくなるということ。つまり、サービスそのものが価格消耗戦化してしまい、あっという間に姿を消してしまうのだ。価格と充実度が二次関数のように比例してしまっているゆえ、今の満足度が高いのかもしれないが、冷静に考えてみると、値段を抜きにしても十分楽しい。青森に住む自分にとっても、湊の朝なんて非日常だからだ。
わがまま言えば、例えば運転手さんをご指名制にしてお得意さんを作ることができるスキームとか、ホテル泊まりの観光客だけじゃなく、八戸市民の方も自由に参加できるようなスキームになって、サービスに携わる裾野がもっと広がれば、街ぐるみでもっと盛り上がるに違いない。
「観光は、市民に愛されてこそ、色んな人に愛されていくものです。」
ある方から伺ったこんな話、こんな想い。それを実現すれば、これはもっと愛される。そして、自分もそんな姿をまた見に行きたいと思う。