弘前ねぷたまつり_2008・4日目
まだ、祭りが始まる少し前のこと。
お腹を満たしてから土手町に移動しようと思っていたので、弘前のとあるお店で食事をしていたところ、「ドン!ドン!」と強い太鼓の音が少しずつ近づいてきた。
「あぁ、弘前ねぷたの太鼓だねぇ」
という、このお店の温かいおかみさんの一言に導かれて外に出てみると、決して狭くない道幅一杯に広がる巨大な太鼓の姿が見えた。
津軽じょっぱり太鼓が早くもなく遅くもなく、引き手の歩むペースで目の前を過ぎ去り、すぐそこの曲がり角を曲がったところで、カメラ片手に追いかける。
重低音の強さで内臓が揺さぶられるのではなく、叩き手の息があったリズムと太鼓の前にいる引き手の楽しそうな笑顔に心が揺さぶられる。
太鼓に誘われて弘前公園の横に出ると、これから勇ましく出陣するねぷたが、ズラッと列をなしていた。
弘前ねぷたの特長は、「扇ねぷた」と呼ばれる山車の姿。表面に描かれた「鏡絵」。一筆一筆その力強さによって三国志や津軽為信の姿に命が吹き込まれ、
裏面には、四角く囲まれた見送り絵とその左右を囲む袖絵によって、ねぷたの世界観が完成する。
この見送り絵として描かれるのは、女性が多いとのことだが、これは珍しく男性。また、観音様が描かれたねぷたの姿もあった。
表と裏をつなぐのが肩と呼ばれる部分で、参加している町内会の名前や団体の名前が書かれている。そして、見上げるとねぷたの上には動きを誘導する人が乗っており、運行全体を見下ろしている。
そんなねぷたの土台になるのは「開き」と呼ばれる部分で、津軽藩の家紋である牡丹が描かれている。
青森ねぶたとの一番の違いは、町内単位のねぷたの数。一台一台のスケールが大きく、企業等の団体も目立つ青森ねぶたに対して、弘前ねぷたは今も町のねぷたという姿が色濃く現れている。(もっとも、何十年も連続して参加している弘前大学や、地元企業の姿も見られたが)。
で、弘前のねぷたは扇ねぷただけかというと、青森ねぶたと同じく人形型の「組ねぶた」の姿も。ただ、後姿には見送り絵が描かれているものもあるのは、弘前ねぷたならではといった趣。
ここからは、練り歩きの舞台となる土手町に移動して、「ヤーヤードー!」の掛け声と共に進む一台一台を楽しむことに。
電線対策ということもあってか、ねぷたの上部はこんな具合に折りたたむこともできる。
こういった、文字物の組ねぷたの姿も見られたが、個人的なツボだったのは「津軽衆」という文字物。
弘前のねぷたも、途中で立ち止まって全体を魅せるべく回る。
通り沿いには、いくつもの露店が出店しているが、個人的におすすめなのが柏木農業高校が作っているいちごシロップがたっぷりと注がれたカキ氷。
コンデンスミルクもデフォルトでかけてくれるが、「シロップだけでお願いします」として口にすると、色だけいちごシロップとのあまりの差に、驚きを感じてしまった。
途切れることなく、ねぷたが歩んでいくその姿。弘前のねぷたまつりは、どことなく聖者の行進が聞こえてきそうな祭りだ。
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