新潟県新潟市・古町麹製造所 麹と祭と街の色。
スターの雄姿が立ち並ぶ先には、
目を惹くロゴが立ち並んでいます。
ここは古町の中心街・上古町商店街。
この商店街やまんがストリートのある古町通は、
シンボルたる白山神社を起点に、
1〜13番までの数字の付された東西に伸びる街区。
今立っている上古町は1〜4番が付された通り
(まんがストリートは5番街)、
神社から伸びる道沿いには、
新旧色々なお店が立ち並んでいます。
そんな通りの一角にあるのが、古町麹製造所。
銀座の松屋デパートや自由が丘にも出店する、
麹の専門店です。
元々、この商店街もシャッターで閉ざされたお店が多く、
街が落ち込んでいた時期もあったといいます。
そこに地元出身で銀座で「銀座十石」を営む方が、
米どころの宝たる麹をテーマにオープンしたのがこのお店。
白壁の外観と店の奥にある麹を仕込む道具「こへぎ」の融合は、
麹が生まれるまでに欠かせない色や技術を、
店舗デザインに昇華させて、強い印象を心に残します。
さて、せっかく本店に来たのですから。
本店限定の麹と生クリームのスムージーを
飲まずにいられません。
シャリシャリとシャーベット状になった麹の旨味、
やわらかな甘さとクリームのコクが、
身体の芯まで包み込み、
ゆっくり冷やしてくれます。
丁寧に作られた味だからこそ、
暴れる仕草はまったく見せずに、
身体に馴染んでくれます。
いわば、これは涼やかな記憶のプレゼント。
いたずらにゴクゴクと飲む感じではありません。
麹を生み出してくれる、
色々な職人さんに感謝です。
さて、せっかくですから、白山神社に向かってみましょう。
町歩きに欠かせないマップも、この町では巻物のような姿。
一枚紙がペローンと重なっているよりも、
圧倒的に手に取りたくなります。
鳥居の姿が見えてきました、あれが白山神社。
どうやら、今日はお祭りのようです。
実は、お祭りの露店でお目にかかりたかったのが、
この「ポッポ焼」というもの。
黒糖味の細長いカステラのようなお菓子は、
新潟の露店に欠かせない大傑作。
青森でいうところの飴せんべいのような存在しょうか。
ただ、最低9本からじゃないと買えないようで、
今回は泣く泣く見送ることにしました。
…と、そんな話を新潟のとあるお店でしたら、
「あぁ、あれは9本ぐらいぺろっと入っちゃいますよ。」とのこと。
「迷ったら全部食べろ。」は旅に欠かせない格言です(笑)。
神社から再び通りに戻ると、
向こうから威勢のいい神輿の姿。
お客さんからご祝儀をいただいた時の締めの掛け声が、
汗と笑顔と共に商店街に響き渡ります。
お祭りというもの自体が、
神輿や山車の台数で評価されることもある昨今ですが、
一台の神輿の元に集まってみんなの心が一つになった姿こそ、
本当の意味でのお祭りだと思うのです。
路地から伺えるのは、生活空間に咲く天然色。
確かに、商店街には限りなくたくさんの色が詰まっています。
白き叫びが街を染めて、
褪せた壁の色が街の歴史を物語り、
食欲に訴える看板の色に誘われて、
次の日のエネルギー源を補給する。
古き良き伝統と新しきものの融合で生まれる日々は、
生活を彩る色の移り変わり。
たくさんの色で彩られた街は、やっぱり輝きに満ちているものです。