【郷土料理しまや/青森県弘前市】おかえりなさい!久しぶりの営業再開に乾杯!!
自分の人生を変えてくれたお店「郷土料理しまや」。この店を知らなかったら公務員を辞めて郷土料理と共に歩む人生を選ぶこともなかったでしょう。
これまでも数えきれないほど足を運んで、四季折々の食材の旬をはじめ、食卓に伝わってきた大切な知恵、そして津軽の食文化によって作り継がれた料理の数々が持つ、静かな力強さに満ちたおいしさを教えてくれました。
そんなかけがえないお店ですが、実は去年の夏ごろから女将さんの体調不良で一時休業していました。
青森で仕事があるごとに店を訪れても、店頭に暖簾が架かることがなく、“もしかしたら・・・”なんてことも、正直思ったりしました。
…ですが、今年の4月に営業再開の報が! となれば会いに行くしかありません。
琺瑯バットにたっぷり盛られた津軽の日常食の数々が並ぶ、心地よきカウンターの景色は変わりません。カウンター越しにせっせと料理を作る女将さんの体調は、まだ完調ではありませんでしたが、色々と休んでいる間のこととかをいつもの調子で話してくれました。
身欠きにしんの煮付け、棒鱈の煮付け、もやしのでんぶ、「今日から始めたのよ」という根曲がり竹と鶏肉としらたきの煮物。
どれも自分にとっては“まずはこれから”的な料理ですが、だからこそ変わらないおいしさに会えた喜びもひとしお。
繊維の奥まで煮汁の旨味が詰まった身欠きにしん、棒鱈のグシュとした噛み心地と風味、ジャクジャクとしたもやしの歯ざわり、そして根曲がり竹としらたきの弾力が織りなすおいしさ。一つひとつ丁寧につくられた味にほっこりします。
「これ、ばっけだちって言って、ばっけが成長したものなんだよ」と、小鉢に持ってくれたのが胡麻和え。シャクシャクからしんなりした食感に移りつつ広がる、豊かな香りと独特の風味が、ごまのコクとともに口を満たせば、野山にいるかのような感覚に。フキノトウって『ばっけみそ』や天ぷらとして食べることが多く、こうした食べ方を教えてくれることが本当に嬉しいんです。
あとは赤魚の焼き魚。身はふっくらでみずみずしく、旨味たっぷり。身と皮の間の脂も濃厚で、クニュっとした皮の味もたまりません。
さくらまつりの会期中ということでお客さんもひっきりなく訪問。ということでお腹が八分程度になったところでごちそうさま。
願わくば、次の訪問時にはもう少し女将さんと過ごす時間を長く取りたいなぁ…と。でも、またこの味に会えたこと自体が嬉しくて、それだけで大満足でした。