梅田・本とん平 とん平焼き(チャップ・800円)

近畿, 鉄板/粉もん料理, ひるベスト!!!

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ある日、コンビニで見かけたのが「とんぺい風お好み焼き」なる一品。
つまり、豚肉が入ったお好み焼きなのだが、これを、以前にちょっと読んだDancyuの記憶と照らし合わせながら食べてみると、あまりにもキャベツの量が多く、正直悩ましかった。お好み焼きとして悩ましいというより、ネイティブのとん平らしさがまったくないということに。
…ということで、本物のとん平が食べたくなった自分が向かった先は、大阪のお初天神通り。曽根崎心中ゆかりであるこの地に、元祖とん平のお店があるとのこと。
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そのお店の名前は、「本とん平」。何がいいって、その名前。「本物のとん平焼は、ここにある!!」という意志を感じてしまった。
昼のピーク時を過ぎたタイミングで店内に入ると、他にお客さんはおらず貸し切り状態となった。丸椅子に座って壁に描かれた手書きのメニューを見る。書かれているのは、とん平焼き(チャップ)と、とん平焼き(ビーフ)の2種類。ただ、迷うことなく注文したのは前者。
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テーブル3つでUの字型の配置になっている鉄板に油が敷かれ、そこに生地を流す。生地はメリケン粉とトロロをブレンドしたもの。お好み焼きであれば丸く伸ばすところだが、とん平焼きは横に長く伸ばして焼く。その理由は、生地の上に同じ形の豚肉を乗せるからだ。
その傍らでは、卵が焼かれている。これも、とん平焼きには欠かせない食材。そして、これらを重ね合わせてたところにソースを塗る。これで終わり。お好み焼きに比べるとシンプルな調理法だが、逆に言えば、素材の味がしっかりしてないと単調になりかねない組み合わせでもある。
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その味をコントロールするのが、特製秘伝のソース。これをたっぷり注いで鉄板から焦げる香りを生み出す。もちろん、自分の食欲が刺激されるまでに時間はかからなかった。
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5等分に切ってもらい、これをヘラで食べる。
ふわふわと軽い食感の生地、ジューシーな豚肉、そして卵のボリューム感。これを甘辛感絶妙なソースで食べる。逃げようがないぐらい、シンプルな料理だからこそソースが活きる。逆にソースの味を活かすために、生地や豚肉そして卵のバランスがある。
一切れ一切れを食べ進めるごとに、2枚目を焼いてもらおうか迷ってしまう。それぐらい、このとん平焼きには魅力がある。ネームバリューではなく、本当のバリューがたっぷりと詰まっている。
この料理は、このお店の初代の主人さんが捕虜として捕まっていたロシアから戻り、お好み焼きのお店を出そうと思いメニュー開発の段で生まれたもの。ちなみに、このお店が誕生する前にこの場所にあったお店も、実はお好み焼きのお店だったという。
豚肉を平べったく焼いたから「とん平」焼き。そんなシンプルなネーミングが授けられた一品は、自分の心にたまっていたモヤモヤとしたとん平像を明確にし、美味しい記憶を残してくれた。
お店を出るときにとある方の話をしたところ、そこから会話が10分以上も続いた。でも、そんなやりとりも大阪だからこそのもの。旅先で会話しないなんてもったいないし、戦後の混沌期から受け継がれている食文化の本物に触れないなんてもったいない。
そんなことを改めて感じさせてくれた。

この記事を書いた人

takapu

ローカルフードデザイナー/伝承料理研究家/Local-Fooddesign代表。「10年後でも古びないモノ・コトづくり」をコンセプトとした商品・サービス開発、既成品リニューアルをはじめ、食と旅がテーマのコンテンツ制作・事業、編集、撮影、執筆、漫画原作、講演を手がけています。プロフィール・事業実績はこちらから

Posted by takapu