
福島駅東口から歩いて5分。デパートが立ち並ぶメインストリート沿いのビルに、一軒の珈琲屋さんがあります。
その名は珈琲グルメ。正直なところグルメの言葉を冠したお店で、あまりいい経験をしたことがないものの、味わい深い明朝体で自家焙煎の文字と組み合わさると、むしろ店名に不思議な惹きを感じるものです。
お店の入口にたどり着くと、ランチタイムもあってか店頭にはウェイティングの列。店内にあるシートに名前と人数を書いて待っていると、店員さんがメニューブックを運んできました。
開くとそこにはあまりにも充実しすぎなラインナップ。メインは自家焙煎の珈琲、その先にはフードメニューとデザートメニュー。シンプルなメニュー構成のカフェが増えている昨今、大量のテキストと写真を眺めていると、待ち時間を忘れてしまいます。
店内に案内されると、左手には窓に面した大きな焙煎スペースがあり。右手には長いカウンター席と大きなラウンドテーブル。カウンター席に座って珈琲を淹れる所作を眺めつつ、注文したのは「Part1セット」というもの。

フードメニュー、ドリンク、そしてデザートから一品ずつ選べば、どの組み合わせでも税込み1,270円になるシステムですが、これがまた悩みどころ満載なんです。
ドリアとかカレーとか塩パスタとか、喫茶店で食べたいメニューのオールスターが揃い、アイスコーヒーやカフェオレなど、自家焙煎の珈琲メニュー。更にデザートを選ぶという作業。
ある意味、最高の幸せなのですが、初めての訪問にも拘らず、ベストな組み合わせを追い求めようとすると悩んでしまうもの。そんな中から選んだのは煮込みハンバーグ、アイスコーヒー、そして珈琲ババロアというフォーメーション。もう勝手に必勝体制です。

まず運ばれて来たのは、煮込みハンバーグ。まさか、カレーライスのような姿で運ばれて来るとは思いもよらず、この姿には圧倒されました。
大振りなハンバーグは、まさに家庭的な味。トマト風味のデミグラスソースがしっかり染み込んで、ソースに入ったしめじやエノキのクニュっとした歯ざわりがリズムを作ります。
白米指向の味付けなので、ソースを絡めて食べるだけで、商業洋食の原点っぽい素朴な美味しさが広がって、なんだかもうたまりません。
最初のお皿を空にしたところで、アイスコーヒーを飲みながらデザートを待ちます。じんわりと広がる柔らかな豆の甘さ、香りをたっぷりと口に残しつつ喉を通っていく。ここはやっぱり珈琲が主役のお店、この味あっての色々なメニュー群なんだ。と確認させてくれます。
そして、お待ちかねのデザートタイム。珈琲ババロアが運ばれてきました。

ババロアの土台の中心に、たっぷりのソフトクリーム。このダイナミックなルックスには、テンションが上がります。
一口大にババロアを掬って食べれば、フルフルの食感から溢れ出す珈琲の香り。甘さは控えめでしっとりというよりは、少しゼリー状に近い感じの食感。そして、ババロアのトランポリンの上に鎮座するソフトクリームを絡めて食べると…言葉になりません。単純に旨いです!
バニラ、珈琲、ミックスの3種類から選べるのですが、ババロアを混ぜつつ食べるには、ミックスが一番。珈琲の豊かな香りとフルフルした食感、そしてミルクのコクと甘さ。このコンビネーションは無敵です!

すっかりお腹いっぱいになったところで、レジでお会計を済ませてお店を後にすると、ドアの向こうにはお客さんの姿。手際よく次々と案内されていきます。
福島の知人に「このお店のアルバイトの子は、地元の福島大学の学生さんが多い」という話を聞き、改めてお店と地域のいい関係で、この空気は作られているんだなぁと。
次はどんなフォーメーションにしようかが今から楽しみですし、また一つ福島を訪れる理由が増えました。