築地・ふじむら 豚角煮定食(900円)
市場の場外の地に、まっとうな定食を出してくれる店の登場を待望していたこちらの方が、ここの定食にえらく感激していたのを見て訪問。
店内は4人がけテーブル2つにカウンター席が3席と、こじんまりした空間。相席ながらも、空席があったので早速座って最初にしたのは、
「今日の刺身定食は何が出てきますか?」
という質問。すると、
「今日はマグロ、カンパチ、ほうぼう、スミイカ、ミズダコですね。」
「これは、刺身定食にするしかない!」
と思ったのだが、隣の席に座っていた方が食べていた豚の角煮が、隣の芝生以上に旨そうに見えたので、気がついたら目の前には同じものが運ばれていた。
ごはんに味噌汁、角煮、小鉢2品。これに、テーブル上の入れ物に入っているたくあんと梅干というラインナップ。
まず、味噌汁に手を伸ばすと、これがいい具合にダシを効かせた味。そして、揚げからはこれを経由することで、ちょっと味が膨らんだ旨みがじゅわっと広がり、水菜とネギもしっかりと役割を担っている。この味噌汁は正にほっとする味というもの。
次に、角煮へ。
全てがしっかりと柔らかく煮込まれているというより、身を噛み締めるとじゅわっと肉エキスが出てきて、脂身はフワフワトロトロになっていることで、食感の違いを楽しめる。
で、個人的には角煮は脂身を食べることで、満足感を得るタイプなので、これが旨いかグダグダかで印象が変わってくるのだが、ここのはすんごく旨い。このボリューム感に比例してごはんが進む。
そして、肉と同じぐらい、あるいはそれ以上の印象を受けたのが、この大根。
箸を入れた際の感触がものすごく潔い。スッと切れるのではなくホロっと、でも荷崩れしないという理想的なものになっている。しかも、湯気がたっぷりと広がるぐらいに熱々なのが嬉しいところ。この、少し濃い目の煮汁をたっぷり吸った大根を口にすると、ごはんに次ぐごはんとなる。
卵もしっかりがっちり固いものなので、更なるボリューム感をかもし出してくれるのだが、味が過剰に煮汁を吸っていなく、この一つの器の中で濃さの階層ができていることに好感。
小鉢も、高野豆腐からえらい量のダシ汁が溢れてきたり、単品での旨さとごはんとの組み合わせをしっかり考えた作りとなっており、「定食における小鉢の役割とは何か?」の見本にしたくなる味。
漠然と品数を揃えることで定食とするのではなく、定食に対して、しっかりと設計図を持って作っているということは、実は少ないんだということを実感。そう、昼休みにはこんな定食が食べたいのである。
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