神戸・「神戸突撃隊!」その3 ~長田区・ゆき そばめし、お好み焼き、ぼったこ、肉天、謎のジュース~

30/01/2007

07-01-28-1.JPG

そば焼きとうどん焼、そしてマカロニイタリアンとスパゲティイタリアンという、関東で味わえないようなAB級グルメを堪能した後は、新開地から長田区へ移動してそばめしを食べることに。今回訪問したのは、

07-01-28-2.JPG
見事な提灯が目印の「ゆき」というお店。向かいの魚屋さんで魚を見ながらしばし待った後で入店し、注文したのは牛スジ入りのそばめし、タコ入りのそばめし、お好み焼きの豚玉、そして、「ぼったこ」なる名物料理。
さて、このお店の名物は料理だけではなく、お店の方の技と人柄。ここは店の奥にある大きな鉄板でそばめしやお好み焼きが作られて、それが各テーブルに運ばれてくるのだが、作っている姿を見ていると惚れてしまう。

07-01-28-3.JPG
07-01-28-4.JPG

ご夫婦が隣り合って調理をしているのだが、鉄板の上で踊る4本のコテが作り出す金属音は、まるでオーケストラのように華麗なリズムと緊張感に満ちており、小刻みな動きとシンクロして展開される空間は、キダタローもびっくり的なものである。自分達が注文したものを作っている姿を見て、期待値が最大限に高まったところで、大きなチリトリのような金属製の板で最初に運ばれてきたのは、そばめし2種類。

・スジ入りそばめし
07-01-28-5.JPG

・タコ入りそばめし
07-01-28-7.JPG

で、実はスジ入りそばめしの注文が、誤って豚肉入りそばめしで伝わってしまったので、ここに別に焼かれたスジが加わる。

07-01-28-9.JPG
まずはスジ入りそばめしを食べると、昔、冷凍食品で食べたあの味はなんだったのだろうかという衝撃。ソースが絡んだ、水分が飛んでパラパラの状態になるまで焼かれた米と、同じく細かく刻まれて焼かれたそばの2種類の旨みが、キャベツやネギと一緒に口の中で一体になると、2倍ではすまないスケールになる。スジやタコもその食感が、比較的固めの米とそばとは逆に、弾力に満ちたものとなっているので、旨みと食感に変化を与える役割の両方を備えている。

ここで追加ソースを投入。このお店で使っているソースは、ブラザーソースというメーカーのもの。通常のソースと辛めの「どろからソース」の2種類があるのだが、前者は濃度が15%増しでありつつも、まったりした味。調味料として分かりやすい味となる。
 
一方の辛めのソースは、食べているうちに辛さが二次関数グラフのように急激に伸びてくる。でも、この爆発力が心地よく、発汗も含めて鉄板ものを食べる醍醐味と化す。テーブルには割り箸も置いてあるのだが、やはりコテで食べるのが一番である。

07-01-28-10.JPG

次に運ばれてきたのは、お好み焼き。

07-01-28-8.JPG
広島風のように、そばやキャベツといった具が大きいものではなく、繊細な作りになっている。そばめしのハードな食感に対して、こちらは空気感をも感じるやさしさが、熱々の生地からコテを経由して伝わってくる。これはソースをかけずに、やさしさを感じつつ食べるのがオススメ。そして、名物料理「ぼったこ」が運ばれてきた。

07-01-28-11.JPG
たこ焼きのたこが牛スジになったものが、ダシ汁に漬かっている一品である。ぼったこという名前は、こっちでは牛スジをぼっかけと呼ぶことに始まり、それをたこ焼きでやってみると、この名前になったようで。器の中に漬かった状態で、箸で切ると中からは牛スジが現れて、口に運ぶと広がるのは、ダシを思う存分に吸い込んだ生地とシンプルな牛スジの旨み。

また、生地を全部食べてダシが残ったお碗に、鉄板の上で固くなったそばめしを入れて食べると、そばめしの旨みとダシが一体になって、えらく旨いものに仕上がる。表面がくにゃっとなったり、微妙に絡まったソースの味が、ダシ汁に加わるのも、AB級な美味しさならではのものか。と、ここで店の奥に行った際に目に入った、ジュースを注文してみる。

07-01-28-12.JPG
お店のおじちゃん曰く、「アップルいうんやけど、中身はみかん水やで」というシロモノ。でも、これが店のメニューとものすごく合う。普通に果汁100%のオレンジジュースだと、甘い味が強く残ってしまうが、このみかん水は適度な濃さと甘さなので、熱いメニューでアツアツになった口を、クールダウンさせるにはもってこいのアイテム。

お腹がだんだんと満腹感に包まれる中、おじちゃんから「これ、サービスな」ということで、一枚いただいたのがにくてん。

07-01-28-13.JPG
これが、すごく旨い!生地、スジ、ネギのシンプルな品なのだが、ネギに熱が通り過ぎることなく焼かれており、皮の食感、ネギのエキス、肉の旨みが絶妙な組み合わせとなっている。よく、「何枚でも食べられる」という表現があるが、この表現がぴったりくる一品。もちろん、アップルとの相性も申し分なし。鉄板の上に残ったそばめしもお好み焼きも、絶対に残してはならない勢いで、一気に食べ尽くし、満腹間と満足感に溢れた気持ちで店を後にするのであった。関東人が考える「鉄板料理に期待するもの」が全て詰まったこのお店、訪問は必須である。

この記事を書いた人

takapu

ローカルフードデザイナー/伝承料理研究家/Local-Fooddesign代表。「10年後でも古びないモノ・コトづくり」をコンセプトとした商品・サービス開発、既成品リニューアルをはじめ、食と旅がテーマのコンテンツ制作・事業、編集、撮影、執筆、漫画原作、講演を手がけています。プロフィール・事業実績はこちらから