映画・津軽百年食堂
観てきました、映画「津軽百年食堂」。
最初の食堂でのシーンからラストのシーンまで、
津軽の人が持つ心の温かさや強さ、
その裏にある、本当は誰もが持つ繊細で弱い部分を、
子供のように照れ隠ししているような仕草。
単純に青森が映画というよりも、
津軽そばというフィルターを通して、
その地に住む人の心そのものを映し出した映画。
あっという間の2時間。
本当に百年食堂で食べた後の食後感と同じように、
やさしさと温かさに包まれる。
この映画が都内で上映されている映画館の一つが、
日本で最初にロードショーの歴史を生み出した、
有楽町のスバル座であることも、映画の空気感を高めてくれる。
スクリーンに映し出された映画の数だけ、
笑顔の素になったり、心の涙をぬぐうハンカチになったり。
長い間、その役割を提供し続けることは容易なことじゃない。
津軽百年食堂というものも、そういう存在だと思う。
普段、当然に青森の地に存在するものの、
ふとした瞬間に自分の側から消えてしまうと、
言葉にできない喪失感を覚えてしまう。
そして、暖簾の先にある席に座ったとき、
なんとも言えずに安らげる。
だからこそ、愛しい存在になって、
一人一人の愛しさで生まれる歴史が積み重なる。
封切り初日と二日目に配られたピンク色の袋には、
映画のフライヤーの他に、
弘前市や津軽全域の観光マップや、りんごジュース、
そしてメッセージ入りのせんべいと1枚のステッカーが入っていた。
きっと、今年の春に弘前公園に咲く桜は、
日本にとって特別なものになるはず。
その美しさが心の拠り所になってくれるはず。
もちろん、自分もあの大きな看板と、
黒沼さんが作る津軽そばに、出会えることを心待ちにしている。