飯田橋・おけ以 「餃子の店」の餃子、そして玉子チャーハンとタンメン。
夜の飯田橋、駅のすぐ近くを歩いていたら、
緑地に白文字で「餃子の店」と、ちょっとだけ怪しげに光る看板が見えた。
気になって近づいてみると、偶然に戸がガラガラと開き、
お店のおばちゃんに「何人?」と声をかけられたので、
流れに任せてお店の中に。
カウンター席に座ると、
店名である「おけ以」の文字が記された、
割りばしを入れる壺のような器、
餃子の醤油皿、そして口拭き用の紙ナプキン。
もちろん、お冷のグラスにも。
ものによっては、擦れぎみになっている文字を見た瞬間に
「これは!」と思った。
「今から餃子焼くけど、注文する?」
という、おばちゃんの勧めに乗って、
まずは、お店のフラッグシップである餃子を注文。
7つの餃子をつなぐ羽根が、
香ばしさを存分にアピールする餃子。
熱々を頬張ると、
モチモチの皮に野菜の甘味と豚肉のジューシーな餡、
そして羽根のパリパリ。
一口で広がる流れを受け止めながら、
「餃子の店」を謳う自信と、
それを守り続ける丁寧な仕事に脱帽。
そこに運ばれてきたのは、玉子チャーハン。
シンプルな姿であっさり味。
色々な具が入っているチャーハンも好きだけど、
こっちのほうが自分的には手が止まらない。
そして、タンメン。
たっぷりのもやしと白菜、細かく刻まれた豚肉の姿も。
まずはスープを一口…のはずだったのに、止まらない。
あっさりした口あたりで深い旨み、そしてコク。
飲んでも飲んでも飽きることのない味。
この止まらない勢いは、青森の名店が作る
塩ワンタンメンのスープと同じ感覚。
とにかく、すっと身体に美味しさが入ってくる。
スープの旨みを吸ったもやしや白菜を、
気持ち太めで平打ちな麺と共にすする。
モチモチの麺自体に備わる味と野菜の甘味を、
スープの旨みが取り持ってくれる。
いやぁ…たまらない。
夢中になって熱々のタンメンを食べて、
汗がじんわり出てきたところで、
「お客さん、暑そうだね」と言って、
おばちゃんが入り口の戸を少しだけ開ける。
ほっとする味に、
味を際立てるちょっとした気配り。
このお店は、自分の中の「好き」の中でも、
ちょっと違う「好き」になっている。