2011年、瀬戸内へ。〜その1 徳島県徳島市・とよとみ珈琲 最高のマシンから生まれた珈琲と、愛すべきご主人〜
「さぬき」の文字を横目にしながら、航空機が高松空港に降り立った時、
機中の窓から見た空模様は、薄い灰色のキャンバスの隙間から、
わずかな青が顔を出している程度。
乗り慣れてないレンタカーに乗って高速道路に入り、
ドライブモードに気持ちを切り替えようとしたところで…
高速道路が通行止めになっていたのです。
やっぱり、日が悪かったなぁと思いつつ、
渋滞から避けるべく、すぐ先に見える出口で降りるべきか迷っていたら、
津田の松原サービスエリアのツイッターによって、
通行止めが解除されたという情報が。
なんか、自分にとって縁のない地で、
顔が見えないのに、情報で不思議なつながりができるって、
本当に面白いもので。
そんな悪天候なのに高速を使って徳島県に来た理由は、
コーヒーを飲むため。ただ、それだけなんです。
でも、本当は徳島ラーメンも食べたかったのは秘密です。
一人当たりのコーヒー豆消費量が日本一で、
県内の至るところに個性的な喫茶店やカフェが点在し、
町中がコーヒーの香りに満ちている。
そんな感じだというので、やっぱり気になってしまいました。
で、最初に訪問したのは、とよとみ珈琲というお店。
サーフィン好きのご主人が、8年程前に独立して始められたというお店は、
倉庫だった建物をリノベーションしたというもの。
ドアを開けて広がる空間が、
ちょっとだけ歪な感じになっているのが、
逆に味になっていて魅力的です。
そんなお店で注文したのは、
「とよとみブレンド」と2種類のケーキ。
車を走らせた疲労が凝縮された身体を、
目の前に出されたカップから立ち上るブレンドの香りが、
目覚めさせてくれます。
で、一口飲めば苦味と甘味のバランスがとれた、
すごく優しい味。
豆のセレクトにはストイックだというのに、
厳しさが一点もないのは、
きっとご主人の優しい人柄なんだろうなぁと思ったのです。
その傍らにあるのがブルーベリーとラズベリーのパフェ。
ベリーの酸味と2種類のアイスの甘味の組み合わせが、
珈琲で目覚めた身体にすっと入ってきます。
そして、オレンジゼリーのロールケーキ。
一口でも食べればよかったなぁ……と、後悔。
で、パフェをちょっと食べ進めたところで、
注ぎ入れるのはエスプレッソ。
別々に口にして融合する珈琲の香りと甘さが一体になれば、
もちろん深くて面白い味にしかなりません。
食べ進めていると、底のほうのコーンフレークに
エスプレッソが染み込んでいて、
これがまた口を引き締めてくれます。
そんなご主人に東京から来たことをお話させていただくと、
焙煎機「Fuji Royal Revolution」との対面が実現。
日本に3台しかなく、しかもお店にあるこのバージョンは、
ここにしかないとのこと。
好きなモノ・コトについて話されてる方の顔って素敵なのですが、
ここのご主人は特に素敵です。
人にエネルギーを与えてくれる人っていうのは,
きっとこんな方。
ついつい、お店特製のTシャツも買い込んでしまいましたが、
次は、モーニングセットを食べに行ければと画策中です。